ブログ

中平コラムSeries104:物流にAI導入!…したけど現場から「で、それ何に使うん?」って言われるって話

作成者: 中平裕貴|2025年06月30日

こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。

 

 

最近またよく耳にする言葉があります。

 

「物流にAIを導入して効率化したい」

 

はい、わかります。気持ちはわかります。

ただ、現場に行ってそれ言うと、たいていこう返ってきます。

 

「で、それ何に使うん?」

 

これはもう、現場の名言ランキング上位ですよ。

 

 

僕は、かつて玉ねぎを運んでいた

実は僕、数年間トラックの運転手してました。

イオンに毎日、肉とか野菜とかを運んでました。

 

で、一番キツい荷物は何かって?

 

玉ねぎです。圧倒的に玉ねぎ。

 

もうね、台車が「いや無理やろこれ」って言ってるぐらい重い。

タイヤがねじ曲がってる。

 

毎日、物流センターに行って、玉ねぎの山と格闘してた僕からすると物流現場は、 “想定外” の連続 です。

 

AIくんの理想と計画

AI:「こんにちは!僕は物流を効率化するAIです!」

経営陣:「おお〜なんか賢そう!導入しよう!」

 

↓ AIの狙いはこんな感じです

  1. 需要予測:出荷量に応じて人を配置したい!

  2. 動線最適化商品の場所を最短ルートで決めたい!

  3. 作業効率化ピッキング順を合理化したい!

 

…賢い。とっても賢い。

でもね、現場はもっと “人間らしい” んです。

 

 

AI vs 現場:ズレ三連発

1. 需要予測の大外れ

AI:「過去データでは、今日は玉ねぎ10箱です」

現場:「今日は特売や!40箱きたで!!」

 

→ 結果:玉ねぎ地獄。腰がやられる。フォークリフトのタイヤも心なしか重い。

AI:「聞いてないよォ…」

 

2. 動線最適化?そこ通れんやん

AI:「最短ルートはこの通路です」

現場:「そこ、玉ねぎのパレットで通れんやん」

 

“最短距離” と “通れる距離” は違うってこと、教えてあげたくなります。

 

3.  効率的な順番?こっちは腐敗との戦いや!

AI:「A→B→Cの順でピッキングすれば効率的です」

現場:「いや、Cは冷蔵やから最初に出さなあかん!」

 

効率よりも、まず腐らせないことが大事や!

 

 

AIが信じる世界と、現場のリアル

AIの前提 現場のリアル
データは完璧 手書きメモが真実
人は言うこと聞く 「これ昨日もやったし」理論で変更される
環境は安定してる 雨・遅延・休憩多めの人、ぜんぶ “あるある”
ロジックが最適 感情と体力がロジックを上回る時がある

 

 

じゃあどうする?答えは“共感”

①「AI使ったらラクやん」を届けよう

「こんな未来が作れます!」じゃなくて、

「明日の作業、ちょっとラクになるやん」を提案しよう。

 

②「小さな現場の知恵」を学べ

「玉ねぎは下に積む。潰れると“現場が詰む”」

AIにこの知恵、インストール

 

③現場に敬意を持てるエンジニアを育てよう

玉ねぎの台車を押したことがある人。

冷蔵庫で手が悴んだ経験のある人。

そんな人が作るAIは、絶対にやさしい。

 

 

あとがき:AIくん、君が間違ってるんやない。ただ「知らん」だけ。

AIに罪はありません。「学んでないだけ」なんです。

 

でもその “学び” を与えられるのは、現場を経験してきた僕たち人間だけ。

 

玉ねぎの台車を押しながら、「腰いてぇ〜」って叫んだあの日々に、今、僕はこう思います。

あの重さこそが、現場のリアルなんだって。

 

もし「AI導入プロジェクト」がうまくいってないなら、いっぺん玉ねぎ運んでみること、強くオススメしますマジで。

 

 

 

 

 

 

著者情報


 

中平 裕貴(Yuki Nakahira)

株式会社エスワイシステム 関東事業本部

関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理

 

『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』

 

エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。

エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。

技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WONT TO」で動ける社会を目指す。

 

🛠 技術領域

アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、

📈 事業・営業経験

SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル

🏗 組織マネジメント

リーダー育成、組織改革、チームビルディング

 

📩 お問い合わせ・お仕事のご相談はこちらから↓