中平コラムSeries104:物流にAI導入!…したけど現場から「で、それ何に使うん?」って言われるって話
元トラック運転手が“玉ねぎの台車”の重みと共に語る、AIと現場のすれ違いストーリー。

こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。
最近またよく耳にする言葉があります。
「物流にAIを導入して効率化したい」
はい、わかります。気持ちはわかります。
ただ、現場に行ってそれ言うと、たいていこう返ってきます。
「で、それ何に使うん?」
これはもう、現場の名言ランキング上位ですよ。
僕は、かつて玉ねぎを運んでいた
実は僕、数年間トラックの運転手してました。
イオンに毎日、肉とか野菜とかを運んでました。
で、一番キツい荷物は何かって?
玉ねぎです。圧倒的に玉ねぎ。
もうね、台車が「いや無理やろこれ」って言ってるぐらい重い。
タイヤがねじ曲がってる。
毎日、物流センターに行って、玉ねぎの山と格闘してた僕からすると物流現場は、 “想定外” の連続 です。
AIくんの理想と計画
AI:「こんにちは!僕は物流を効率化するAIです!」
経営陣:「おお〜なんか賢そう!導入しよう!」
↓ AIの狙いはこんな感じです
- 需要予測:出荷量に応じて人を配置したい!
- 動線最適化:商品の場所を最短ルートで決めたい!
- 作業効率化:ピッキング順を合理化したい!
…賢い。とっても賢い。
でもね、現場はもっと “人間らしい” んです。
AI vs 現場:ズレ三連発
1. 需要予測の大外れ
AI:「過去データでは、今日は玉ねぎ10箱です」
現場:「今日は特売や!40箱きたで!!」
→ 結果:玉ねぎ地獄。腰がやられる。フォークリフトのタイヤも心なしか重い。
AI:「聞いてないよォ…」
2. 動線最適化?そこ通れんやん
AI:「最短ルートはこの通路です」
現場:「そこ、玉ねぎのパレットで通れんやん」
→ “最短距離” と “通れる距離” は違うってこと、教えてあげたくなります。
3. 効率的な順番?こっちは腐敗との戦いや!
AI:「A→B→Cの順でピッキングすれば効率的です」
現場:「いや、Cは冷蔵やから最初に出さなあかん!」
→ 効率よりも、まず腐らせないことが大事や!
AIが信じる世界と、現場のリアル
AIの前提 | 現場のリアル |
データは完璧 | 手書きメモが真実 |
人は言うこと聞く | 「これ昨日もやったし」理論で変更される |
環境は安定してる | 雨・遅延・休憩多めの人、ぜんぶ “あるある” |
ロジックが最適 | 感情と体力がロジックを上回る時がある |
じゃあどうする?答えは“共感”
①「AI使ったらラクやん」を届けよう
「こんな未来が作れます!」じゃなくて、
「明日の作業、ちょっとラクになるやん」を提案しよう。
②「小さな現場の知恵」を学べ
「玉ねぎは下に積む。潰れると“現場が詰む”」
AIにこの知恵、インストール
③現場に敬意を持てるエンジニアを育てよう
玉ねぎの台車を押したことがある人。
冷蔵庫で手が悴んだ経験のある人。
そんな人が作るAIは、絶対にやさしい。
あとがき:AIくん、君が間違ってるんやない。ただ「知らん」だけ。
AIに罪はありません。「学んでないだけ」なんです。
でもその “学び” を与えられるのは、現場を経験してきた僕たち人間だけ。
玉ねぎの台車を押しながら、「腰いてぇ〜」って叫んだあの日々に、今、僕はこう思います。
あの重さこそが、現場のリアルなんだって。
もし「AI導入プロジェクト」がうまくいってないなら、いっぺん玉ねぎ運んでみること、強くオススメします。マジで。
著者情報
中平 裕貴(Yuki Nakahira)
株式会社エスワイシステム 関東事業本部
関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理
『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』
エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。
エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。
技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WONT TO」で動ける社会を目指す。
🛠 技術領域
アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、
📈 事業・営業経験
SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル
🏗 組織マネジメント
リーダー育成、組織改革、チームビルディング
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