こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。
―― 新人エンジニア Y君 と“呪術廻戦”の世界線で考える、今どきの育成論
今日はちょっと現場のリアルで、そして個人的にも考えさせられた話を、"呪術廻戦" の世界観をお借りしつつ語ってみたいと思います。
プロジェクトチーム SYAIT(サイアット)に Yくんという新人エンジニアがいます。
(チームSYAITについて詳しくはこちらから → 中平コラムSeries2:名前を付けると気持ちが動くという話)
一言でいえば、「AIとの共生型エンジニア」。
コーディング、調査、設計、資料整理、会話の壁打ち――
あらゆる工程で AIツール を自然に活用し、タスクをこなしていくその姿は、まるで “式神と常に会話しながら戦う呪術師” そのもの。
そして、ただツールとして使っているのではなく、しっかりと “思考の伴走者” としてAIを使っている。
その結果、彼は今、チーム内で確実に “頼られる存在” になっています。
しかし、そんな彼にも “つまずき” がありました。
エスワイシステムには「基本情報技術者試験を2年以内に取得する」というルールがあります。
Y君も例にもれず、受験しました。
でも、結果は不合格でした。
そして、試験後の彼の一言が、僕の心に刺さりました。
「問題読んで、これAIに投げたら一発なんだけどなって思ってしまって。
でも試験ではそれができなくて、答えは分からなかったっす。
でもこの試験、なんか意味あるんすか。」
これは、AIに頼りすぎたからではありません。
彼は “現実の開発業務” で成果を出しているからこそ、資格試験の内容にリアリティが感じられなかったんです。
まるで、領域展開で自在に戦っている呪術師が、突然「素手で戦え」と言われるような感覚かもしれません。
彼の成長は、間違いなく僕にとっても誇らしいことです。
でも、会社のルールや評価制度と照らし合わせると、彼は “基準未達” という扱いになる。
評価制度として、資格を「基礎力の証明」にする意義は理解できます。
でもその一方で、すでに現場で戦力になっている人間にとっては、“過去の思考法をなぞること” に意味を見出せないのも事実。
僕自身、彼のような存在を “育てた” 当人でもあるので、
なんだか自分が作った “モンスター” に自分のルールが効かなくなってる気分にもなります(笑)
実は僕、チームではよくこのような問いかけをします。
「これって、本質的に意味ある?」
ちょっと冷たく聞こえるかもしれませんが、これは “否定” ではなく “確認”の問い です。
なぜ、こんな問いかけをするのか。
それは、すべての物事に 意味 や 意義 を感じながら、不確実な状況を切り開く力を持ってほしいから。
たとえ雑務のように見える作業でも、そこにどんな目的があるのかを自分の中で掘り下げてみる。
それが「思考の習慣」になってくれたら、それだけで成長の土台になると信じています。
Y君のような存在は、まさにその問いの先で、自分なりの意味を見出しながら動いている一例です。
こんな話をしていると、
「じゃあ資格なんていらないのでは?」
という意見も出そうですが、そう単純でもありません。
Y君 のように、AIを本質的に使いこなし、状況に応じて “問いを立てる力” を持つ人は、まだ少数です。
多くの新人にとっては、資格学習で体系的に知識を得ること が、まだまだ重要なステップになっているのも事実です。
要は、「全員AIで爆速」なんて世界は来ていないし、来ないかもしれない。
だから育成や評価の仕組みをどうデザインするかは、より複雑になっていく。
AIは "最強の呪具" です。
ただ、それを使いこなせる術師を育てるには、従来の “教え方” や “評価の仕組み” が通用しない局面も増えてきました。
試験ではなく実務で語れる新人。
資格は持っていないが、AIと共に現場で輝いているY君のような存在は、今後もっと増えてくるでしょう。
だからこそ僕らは、「術具の性能」ではなく、「術師としての在り方」を問い直す必要がある。
“今この時代の育成” において、AIという呪具を前提とした“新たな領域展開”が求められているのかもしれません。
次回は、そんな Y君 のような若手と、どう組織全体で “成長の連鎖” を起こしていくかという話をしたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
中平 裕貴(Yuki Nakahira)
株式会社エスワイシステム 関東事業本部
関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理
『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』
エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。
エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。
技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WONT TO」で動ける社会を目指す。
🛠 技術領域
アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、
📈 事業・営業経験
SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル
🏗 組織マネジメント
リーダー育成、組織改革、チームビルディング
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