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中平コラムSeries51:完全に理解した!って“思わせた者勝ち”な時期もあるって話

作成者: 中平裕貴|2025年04月10日

こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。

 

 

最近、若手と話していてよくあるのが、何かをちょっと教えただけで、

 

「あ、完全に理解しました!」

「もう大丈夫っす。余裕です!」

 

──みたいな、自信満々なリアクション。

 

たしかに頼もしいけど、ちょっと不安にもなる(笑)


「それ…本当に分かってるのか…?」と、心の中でツッコミたくなる瞬間ってありますよね。

 

でも、そんなとき僕は「これはチャンスかもな」とも思っています。

 

実はこれ、心理学的にいうところの「ダニング=クルーガー効果」と深く関係している。
(隣の席のMさんが教えてくれました。)

 

そしてこの “分かった気になってる若手” こそが、

次の成長のフェーズに進む一歩手前のタイミングなのかもしれない──


今日はそんな話をしてみようと思います。

 

 

ダニング=クルーガー効果とは何か?

「ダニング=クルーガー効果」とは、心理学の有名な理論です。


簡単に言うと、「能力が低い人ほど、自分の能力を過大評価してしまう傾向がある」というもの。

 

知識が浅い段階では、「これくらいなら余裕でしょ!」と思ってしまう。

でも実際は、その裏にある難しさや落とし穴に気づいていない。

 

ある意味、 “無知の無自覚” とも言えます。

 

でも、この状態を「危ないからやめさせよう」と封じてしまうのは、もったいない。

 

むしろ、この勘違いは──

やる気と自走力を生む “ブーストタイミング” になる可能性があるんです。

 

 

「理解した!」は、育成の起爆剤になることもある

この “分かった気” って、ある意味すごく前向きな状態です。

「自分はできる」「理解した」と思えるから、行動する勇気が出る。

 

ちょっと背伸びしたタスクに挑戦する。

任されると張り切る。

レビューで褒められると爆伸びする。

 

実はこれ、めちゃくちゃ伸びやすい時期なんです。

 

逆に一番怖いのは、

「自分なんて無理」「分からないから怖い」と思って、何もやらない状態。

 

動かない人は、成長もしない。

 

だから僕は、「勘違いでもいい、まず行動させる」方が100倍良いと思っています。

 

 

“俺、完全に理解した!” の黒歴史

もちろん、僕も例外じゃありません(笑)

思い返せば、若い頃の僕はいつも “完全に理解した!” の顔をしてました。

 

「フレームワーク?MVC?……ああ、あれでしょ?」
「クラスって、つまり何かの箱ですよね?」

 

→ 結果:仕様書読めてなかった。そもそもドメイン設計って何?って感じでした(笑)

(というか、今でもあります)

 

でも、その “分かった気” がなかったら、動けなかったと思うんです。

イキってタスクに手を出したからこそ、「全然分かってないじゃん...!」と自覚できた。

 

そこから慌てて学び直して、なんとか喰らいついて、いつの間にか “本物の理解” に近づいていた。

 

勘違いでも、動けば気づける。

でも、動かなければ、ずっと気づけないまま。

 

 

チームで「勘違いからの学び」を促すには?

若手が「理解しました!」と言ってきたら──

 

僕はあえて、こう返します。

「おっ、いいねぇ!」

 

そして、やってみて失敗したときに、こう言います。

「いいじゃん、いいじゃん。のびてるぅ」

 

これだけで、恥を恐れない文化ができていきます。

「間違えてもいい」「やってみていい」という空気は、育成には超重要。

 

“見守るけど放任じゃない”

“チャレンジを促すけど、責任は一緒に取る”

 

そういう土壌があると、「分かった気になってた若手」が “本当に理解する人材” に変わっていくのを、何度も見てきました。

 

 

まとめ:「分かった気」こそ、成長のスタートライン

“完全に理解した” と言ってきた若手には、チャンスが眠っている。

 

その言葉は、勘違いの証拠であると同時に、自信と行動のスイッチが入っている証拠でもある。

 

そこで「いや、それは違うよ」と潰すのではなく、

「おっ、じゃあ一回やってみよう」と促す。

 

そのうえで、「ここまでは合ってた。でも、ここはもう一歩だね」と返せたら、

それはもう、育成の術式として“領域展開”に近いと思います(笑)

 

勘違いで動いて、失敗して、そこで気づいて、学びに変わる。

 

そのサイクルを支えることこそ、僕ら “育成側の役割” なんだと思っています。

 

 

 

 

著者情報


 

中平 裕貴(Yuki Nakahira)

株式会社エスワイシステム 関東事業本部

関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理

 

『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』

 

エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。

エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。

技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WONT TO」で動ける社会を目指す。

 

🛠 技術領域

アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、

📈 事業・営業経験

SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル

🏗 組織マネジメント

リーダー育成、組織改革、チームビルディング

 

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