中平コラムSeries51:完全に理解した!って“思わせた者勝ち”な時期もあるって話
若手の「完全に理解しました!」は危険信号?それとも成長チャンス?心理学×育成視点で“勘違い”を活かす方法を考える。

こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。
最近、若手と話していてよくあるのが、何かをちょっと教えただけで、
「あ、完全に理解しました!」
「もう大丈夫っす。余裕です!」
──みたいな、自信満々なリアクション。
たしかに頼もしいけど、ちょっと不安にもなる(笑)
「それ…本当に分かってるのか…?」と、心の中でツッコミたくなる瞬間ってありますよね。
でも、そんなとき僕は「これはチャンスかもな」とも思っています。
実はこれ、心理学的にいうところの「ダニング=クルーガー効果」と深く関係している。
(隣の席のMさんが教えてくれました。)
そしてこの “分かった気になってる若手” こそが、
次の成長のフェーズに進む一歩手前のタイミングなのかもしれない──
今日はそんな話をしてみようと思います。
ダニング=クルーガー効果とは何か?
「ダニング=クルーガー効果」とは、心理学の有名な理論です。
簡単に言うと、「能力が低い人ほど、自分の能力を過大評価してしまう傾向がある」というもの。
知識が浅い段階では、「これくらいなら余裕でしょ!」と思ってしまう。
でも実際は、その裏にある難しさや落とし穴に気づいていない。
ある意味、 “無知の無自覚” とも言えます。
でも、この状態を「危ないからやめさせよう」と封じてしまうのは、もったいない。
むしろ、この勘違いは──
やる気と自走力を生む “ブーストタイミング” になる可能性があるんです。
「理解した!」は、育成の起爆剤になることもある
この “分かった気” って、ある意味すごく前向きな状態です。
「自分はできる」「理解した」と思えるから、行動する勇気が出る。
ちょっと背伸びしたタスクに挑戦する。
任されると張り切る。
レビューで褒められると爆伸びする。
実はこれ、めちゃくちゃ伸びやすい時期なんです。
逆に一番怖いのは、
「自分なんて無理」「分からないから怖い」と思って、何もやらない状態。
動かない人は、成長もしない。
だから僕は、「勘違いでもいい、まず行動させる」方が100倍良いと思っています。
“俺、完全に理解した!” の黒歴史
もちろん、僕も例外じゃありません(笑)
思い返せば、若い頃の僕はいつも “完全に理解した!” の顔をしてました。
「フレームワーク?MVC?……ああ、あれでしょ?」
「クラスって、つまり何かの箱ですよね?」
→ 結果:仕様書読めてなかった。そもそもドメイン設計って何?って感じでした(笑)
(というか、今でもあります)
でも、その “分かった気” がなかったら、動けなかったと思うんです。
イキってタスクに手を出したからこそ、「全然分かってないじゃん...!」と自覚できた。
そこから慌てて学び直して、なんとか喰らいついて、いつの間にか “本物の理解” に近づいていた。
勘違いでも、動けば気づける。
でも、動かなければ、ずっと気づけないまま。
チームで「勘違いからの学び」を促すには?
若手が「理解しました!」と言ってきたら──
僕はあえて、こう返します。
「おっ、いいねぇ!」
そして、やってみて失敗したときに、こう言います。
「いいじゃん、いいじゃん。のびてるぅ」
これだけで、恥を恐れない文化ができていきます。
「間違えてもいい」「やってみていい」という空気は、育成には超重要。
“見守るけど放任じゃない”
“チャレンジを促すけど、責任は一緒に取る”
そういう土壌があると、「分かった気になってた若手」が “本当に理解する人材” に変わっていくのを、何度も見てきました。
まとめ:「分かった気」こそ、成長のスタートライン
“完全に理解した” と言ってきた若手には、チャンスが眠っている。
その言葉は、勘違いの証拠であると同時に、自信と行動のスイッチが入っている証拠でもある。
そこで「いや、それは違うよ」と潰すのではなく、
「おっ、じゃあ一回やってみよう」と促す。
そのうえで、「ここまでは合ってた。でも、ここはもう一歩だね」と返せたら、
それはもう、育成の術式として“領域展開”に近いと思います(笑)
勘違いで動いて、失敗して、そこで気づいて、学びに変わる。
そのサイクルを支えることこそ、僕ら “育成側の役割” なんだと思っています。
著者情報
中平 裕貴(Yuki Nakahira)
株式会社エスワイシステム 関東事業本部
関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理
『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』
エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。
エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。
技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WONT TO」で動ける社会を目指す。
🛠 技術領域
アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、
📈 事業・営業経験
SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル
🏗 組織マネジメント
リーダー育成、組織改革、チームビルディング
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