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中平コラムSeries54:『銃・病原菌・鉄』と僕らのDX って話

作成者: 中平裕貴|2025年04月15日

こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。

 

 

先日、社内の中国籍メンバーであるSさんと話していたとき、とある本を紹介されました。

 

『銃・病原菌・鉄』──

(参考:「銃・病原菌・鉄 ―1万3000年にわたる人類史の謎, ジャレド ダイアモンド (著),  倉骨 彰 (訳) ,  草思社,  2000)

 

「なぜ、西欧が世界を制したのか?」を人種ではなく “環境” から読み解く一冊です。

 

話の中でSさんが言った一言が、すごく印象に残っています。

「中平さん、日本企業もこの本と似ている構造があると思いません?」

 

たしかに──この本は、ただの歴史の話じゃない。
現代の組織、特に “変われない日本企業” にも当てはまる問いが詰まっていると感じたのです。

 

 

環境が人を、そして文化を作る

この本の根底にあるのは、このような考え方です。

 

強い・弱いの違いは、人種や能力の差ではなく、その人たちが「どんな環境に置かれていたか」で決まる。

 

農業のスタートが早かった地域では、食料に余裕ができた。

余裕ができたから分業や技術革新が進んだ。

病原菌にさらされてきた地域では、免疫を獲得した。

 

つまり、人が進化したのではなく、環境が進化させた。

この構造、実は企業にもそのまま当てはまるんじゃないかと思ったんです。

 

 

高校野球の強豪校は、なぜ全スポーツが強いのか?

僕がこの話を読んでふと思い出したのが、地元の高校です。

 

そこは野球の強豪校だったんですが──
なぜか、バスケも、卓球も、陸上も何なら吹奏楽も強い。

最初は「偶然かな?」と思っていました。

 

でも、そうじゃない。明らかに “空気が違う” んです。

  • 練習への向き合い方

  • チームの声の出し方

  • 目標の立て方や振り返り方

 

競技は違っても、「勝ち方の文化」が全体に染み渡っている感じ。

環境が文化をつくり、文化が強さを再生産していた。

 

この感覚、まさに『銃・病原菌・鉄』が伝えたかったことに近い気がしました。

 

 

日本企業は“恵まれた環境”で進化が止まった?

そして思うのです。

 

日本企業って、ずっと “穏やかで恵まれた環境” にいたのかもしれません。

  • 右肩上がりの経済

  • 丁寧にやればうまくいく文化

  • 終身雇用と年功序列

 

「変わる必要がなかった」
「今までのやり方で回っていた」

 

だから、進化の圧力が弱かった。

その結果、外の変化に対して鈍感になっていたのかもしれません。

 

 

僕たちは今、“病原菌”の時代を生きている

そして今──まさに “環境が激変する時代” がきました。

 

  • コロナによる強制的な働き方の変化

  • DX、AI、自動化、クラウドの波

  • 世界との競争、グローバルシフト

 

これは、『銃・病原菌・鉄』で言えば “病原菌” にさらされる時代。

組織の構造や文化が、問われているタイミングです。

 

でも、日本企業の多くは、いまだに反応が遅い。

「今まで通り」が染みついていて、変化の必要性にピンとこない。

 

これは、危機です。

 

 

進化を決めるのは、環境ではなく「意志」かもしれない

でも一方で、僕はこうも思います。

 

進化を促すのは環境かもしれない。

でも、進化するかどうかは「意志」にかかっている。

 

実際、僕も “強制的な進化” を経験してきました。

  • ある日突然、会社の代表に任された

  • 英語で提案資料を作る必要が出てきた

  • 海外パッケージ製品の検証を担当することになった

 

全部、準備ができていたわけじゃない。

むしろ「え、無理では…?」という不安の方が大きかった。

 

でも、 “やるしかない” 状況に放り込まれたことで、意志と行動が生まれ、結果的にスキルが身についた。

やらされたことの中に、「意志を持ってやってよかった」がたくさんあったんです。

 

 

まとめ:環境は変えられない。でも、進化は選べる

僕らは “銃” も “鉄” も持っていないかもしれません。

でも、学ぶ力と、繋がる力と、意思決定する力は持っている。

 

環境に変化を強いられたとき、

そこに “やらされ感” で応じるのか、 “選び取る姿勢” で応じるのか──


その違いが、進化を分けるのだと思います。

環境に反応するのではなく、環境に “応答する”

 

僕たちは今まさに、進化を「選び取れる側」にいる。

だったら、変わらなきゃもったいない。

 

自分で選び、自分で動くDXを、僕はこれからも後押ししていきたいと思います。

 

 

 

 

著者情報


 

中平 裕貴(Yuki Nakahira)

株式会社エスワイシステム 関東事業本部

関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理

 

『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』

 

エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。

エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。

技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WONT TO」で動ける社会を目指す。

 

🛠 技術領域

アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、

📈 事業・営業経験

SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル

🏗 組織マネジメント

リーダー育成、組織改革、チームビルディング

 

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