中平コラムSeries54:『銃・病原菌・鉄』と僕らのDX って話

『銃・病原菌・鉄』をヒントに、日本企業の進化とDXを考える。環境か意志か?僕が見た“変化の鍵”を語ります。

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  • こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。

     

     

    先日、社内の中国籍メンバーであるSさんと話していたとき、とある本を紹介されました。

     

    『銃・病原菌・鉄』──

    (参考:「銃・病原菌・鉄 ―1万3000年にわたる人類史の謎, ジャレド ダイアモンド (著),  倉骨 彰 (訳) ,  草思社,  2000)

     

    「なぜ、西欧が世界を制したのか?」を人種ではなく “環境” から読み解く一冊です。

     

    話の中でSさんが言った一言が、すごく印象に残っています。

    「中平さん、日本企業もこの本と似ている構造があると思いません?」

     

    たしかに──この本は、ただの歴史の話じゃない。
    現代の組織、特に “変われない日本企業” にも当てはまる問いが詰まっていると感じたのです。

     

     

    環境が人を、そして文化を作る

    この本の根底にあるのは、このような考え方です。

     

    強い・弱いの違いは、人種や能力の差ではなく、その人たちが「どんな環境に置かれていたか」で決まる。

     

    農業のスタートが早かった地域では、食料に余裕ができた。

    余裕ができたから分業や技術革新が進んだ。

    病原菌にさらされてきた地域では、免疫を獲得した。

     

    つまり、人が進化したのではなく、環境が進化させた。

    この構造、実は企業にもそのまま当てはまるんじゃないかと思ったんです。

     

     

    高校野球の強豪校は、なぜ全スポーツが強いのか?

    僕がこの話を読んでふと思い出したのが、地元の高校です。

     

    そこは野球の強豪校だったんですが──
    なぜか、バスケも、卓球も、陸上も何なら吹奏楽も強い。

    最初は「偶然かな?」と思っていました。

     

    でも、そうじゃない。明らかに “空気が違う” んです。

    • 練習への向き合い方

    • チームの声の出し方

    • 目標の立て方や振り返り方

     

    競技は違っても、「勝ち方の文化」が全体に染み渡っている感じ。

    環境が文化をつくり、文化が強さを再生産していた。

     

    この感覚、まさに『銃・病原菌・鉄』が伝えたかったことに近い気がしました。

     

     

    日本企業は“恵まれた環境”で進化が止まった?

    そして思うのです。

     

    日本企業って、ずっと “穏やかで恵まれた環境” にいたのかもしれません。

    • 右肩上がりの経済

    • 丁寧にやればうまくいく文化

    • 終身雇用と年功序列

     

    「変わる必要がなかった」
    「今までのやり方で回っていた」

     

    だから、進化の圧力が弱かった。

    その結果、外の変化に対して鈍感になっていたのかもしれません。

     

     

    僕たちは今、“病原菌”の時代を生きている

    そして今──まさに “環境が激変する時代” がきました。

     

    • コロナによる強制的な働き方の変化

    • DX、AI、自動化、クラウドの波

    • 世界との競争、グローバルシフト

     

    これは、『銃・病原菌・鉄』で言えば “病原菌” にさらされる時代。

    組織の構造や文化が、問われているタイミングです。

     

    でも、日本企業の多くは、いまだに反応が遅い。

    「今まで通り」が染みついていて、変化の必要性にピンとこない。

     

    これは、危機です。

     

     

    進化を決めるのは、環境ではなく「意志」かもしれない

    でも一方で、僕はこうも思います。

     

    進化を促すのは環境かもしれない。

    でも、進化するかどうかは「意志」にかかっている。

     

    実際、僕も “強制的な進化” を経験してきました。

    • ある日突然、会社の代表に任された

    • 英語で提案資料を作る必要が出てきた

    • 海外パッケージ製品の検証を担当することになった

     

    全部、準備ができていたわけじゃない。

    むしろ「え、無理では…?」という不安の方が大きかった。

     

    でも、 “やるしかない” 状況に放り込まれたことで、意志と行動が生まれ、結果的にスキルが身についた。

    やらされたことの中に、「意志を持ってやってよかった」がたくさんあったんです。

     

     

    まとめ:環境は変えられない。でも、進化は選べる

    僕らは “銃” も “鉄” も持っていないかもしれません。

    でも、学ぶ力と、繋がる力と、意思決定する力は持っている。

     

    環境に変化を強いられたとき、

    そこに “やらされ感” で応じるのか、 “選び取る姿勢” で応じるのか──


    その違いが、進化を分けるのだと思います。

    環境に反応するのではなく、環境に “応答する”

     

    僕たちは今まさに、進化を「選び取れる側」にいる。

    だったら、変わらなきゃもったいない。

     

    自分で選び、自分で動くDXを、僕はこれからも後押ししていきたいと思います。

     

     

     

     

    著者情報


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    中平 裕貴(Yuki Nakahira)

    株式会社エスワイシステム 関東事業本部

    関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理

     

    『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』

     

    エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。

    エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。

    技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WONT TO」で動ける社会を目指す。

     

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    アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、

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    SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル

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