こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。
うちのチームのSさん(中国出身)と日々話していると、当たり前だと思っていた日本語や文化が、
「え、それどういう意味ですか?」とズバッと問われて、思わず考え込んでしまう瞬間がたくさんあります。
ある日、彼女がこんなことを言いました。
「“大丈夫です”って、断ってるんですか?」
僕:「……断ってるけど、確かに意味だけ見たら “OK” だよね(笑)」
Sさん:「中国語だと “没关系” とか “我可以” のニュアンスでポジティブなんですけど、日本語の “大丈夫” は “いらないです” って意味になるんですよね? 不思議です。」
その瞬間、頭の中に「たしかに!」が響きました。
(中国語解説コーナー)
日本語には、“一見ポジティブな言葉” が実はNOを意味する表現がたくさんあります。
「お茶いかがですか?」→「結構です」→ NO
「手伝いましょうか?」→「大丈夫です」→ NO
「一緒にどうですか?」→「いいです」→ 実はNO
たしかに、英語圏の人が聞いたら「OKなのかな?」と思ってしまいそうです。
Sさん曰く:
「私は最初、“大丈夫です”って言われて“あ、お願いするってことだな”と思って、準備してたら、
相手が“なんでやるの?”って顔をしていて、めちゃくちゃ混乱しました(笑)」
これはもう、“言語の構造が違う”というより、“文化の仕組みが違う” としか言いようがありません。
もうひとつ、Sさんに言われてハッとしたのが、「you」に相当する日本語表現の扱いです。
Sさん:「“お前”とか“貴様”って、なぜ悪い意味なんですか?中国語と英語とスペイン語のyouは悪い意味がないです」
(Sさんは4か国語話せる)
たしかに……。
“お前”も“貴様”も、本来は丁寧な表現だったはずなんです。
「お前」=「御前」=尊敬語
「貴様」=「貴いお方」=超敬語(戦国時代!)
それが時代の変遷と共に、「上から目線」「乱暴な言葉」になってしまった。
今では、職場で「お前」と言えばハラスメント扱いされることもある。
言葉は生き物だと言いますが、ここまで意味が変わってしまうと、翻訳不能レベルの混乱を生んでしまいます。
Sさん:「 “you” が失礼になる言語って、日本語くらいじゃないですか?」
僕:「……たしかに、言われてみればほんとにそうだな」
こうした表現の根っこにあるのは、日本語が “言外の意味” に非常に敏感な言語だということです。
はっきり言わずに察する
あえて含ませて伝える
空気を読んで意味を補う
日本語のコミュニケーションは、“言葉+空気”=本当の意味という前提で成り立っている。
だからこそ、「察せない人」にとっては本当に難しい。
そしてそれが、異文化との間に“ズレ”を生む最大の要因になっています。
技術の世界、ビジネスの世界、海外とのやり取り──
今はすべてがグローバルにつながる時代です。
そんな中で、日本語の「曖昧さ」「奥ゆかしさ」は、ときに致命的な誤解を生むリスクになります。
YESなのかNOなのか分からない
曖昧にしたことでトラブルになる
「空気で分かるだろう」が通じない
Sさんのような“直球型”のメンバーと仕事をしていると、「丁寧=分かりづらい」となる場面に何度も遭遇しました。
だからこそ、僕たち日本人は「自分が使う日本語」を、“相手目線”で設計する必要があると感じています。
僕は、日本語の “曖昧な美学” が好きです。
「断らない断り方」
「察する優しさ」
「言外に込めた気遣い」
でも同時に、これからの時代に必要なのは──
“はっきりと伝える力” と、“誤解されない設計力” だとも思っています。
言葉は文化を映す鏡。
だからこそ、文化の違いを面白がりながら、言葉の使い方も “アップデート” していきたい。
「大丈夫です」はNOかYESか──
それを “伝わる形” で伝える力 が、これからのコミュニケーション力なんだと思います。
中平 裕貴(Yuki Nakahira)
株式会社エスワイシステム 関東事業本部
関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理
『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』
エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。
エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。
技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WONT TO」で動ける社会を目指す。
🛠 技術領域
アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、
📈 事業・営業経験
SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル
🏗 組織マネジメント
リーダー育成、組織改革、チームビルディング
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