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中平コラムSeries65:『AIでなくなる仕事リスト』、今読み返すとツッコミどころ満載だったって話

作成者: 中平裕貴|2025年05月01日

こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。

 

 

あのリスト、覚えていますか?

 

2015年──

まだ「AI」という言葉が、SFと現実の間にあった時代。

 

野村総合研究所が発表した、「AIによってなくなる仕事リスト」は当時大きな話題を呼びました。

 

「銀行員は消える!」

「タクシー運転手も消える!」

「経理は絶滅する!」

 

そんなショッキングなフレーズがメディアに踊り、世の中は「この先、仕事がなくなるのでは?」とざわつきました。

 

──しかし、あれから10年。

 

2025年の今、改めて振り返ると

思わずこうツッコミたくなります。

 

「全然、そうなってないやん!!」

 

 

2015年の「なくなる仕事リスト」

当時、「AIによって代替される可能性が高い」とされた職業は、たとえばこんな感じでした。

 

・一般事務員

・駅務員

・銀行窓口係

・タクシー運転手

・スーパー店員

・製パン工

・データ入力係

・通関士

・駐車場管理人

・宅配便配達員

・倉庫作業員

 

──要するに、ルーティン業務や肉体労働系の仕事が中心です。

 

「これらはAIとロボットに置き換わるだろう」と当時は本気で考えられていました。

 

 

では、今の現実は?

2025年現在。

たしかに一部は変化しました。

 

・銀行の店舗は減り、ネットバンキングが主流に

・スーパーにはセルフレジが普及

・配達にはドローンや無人配送ロボットの実験が進行中

 

しかし──

 

・駅には駅員さんが普通にいる

・タクシー運転手も、ウーバーもまだ「人」が運転している

・データ入力は多少自動化されたが、帳票チェックや修正作業は依然残っている

・宅配便はむしろネット通販の拡大で仕事が増えている

 

つまり、「仕事ごと消えた」ものはほとんどない。

 

むしろ、AIに補助されながら人間が一緒に働いている

──これが現実です。

 

 

一方、「代替されにくい」とされた仕事たち

参考までに、当時「AIによって代替されにくい」とされた職業も振り返ってみましょう。

 

・アートディレクター

・映画監督

・ゲームクリエイター

・医療ソーシャルワーカー

・ファッションデザイナー

・フリーライター

・コピーライター

・小学校教員

・精神科医

・雑誌編集者

 

これらは「創造」「共感」「個別対応」が求められるため、AIには難しいとされていました。

 

が──

 

ここも、10年経った今、事情が変わり始めています。

 

 

■これらも、AIに代替され始めている

・アートディレクター、映画監督、ゲームクリエイター

→ アイデア出しやビジュアルラフをAIが量産できるようになった

→ 人間が0→1を生み出す独占領域ではなくなりつつある

 

・ファッションデザイナー、漫画家

→ 画像生成AI(Stable Diffusion、Midjourneyなど)で、個人でも "それっぽい" ものが作れる時代に

 

・フリーライター、コピーライター

→ ChatGPTなどにより、ブログ記事・広告コピー・キャッチコピーが一瞬で量産可能

→ 低単価案件が一気にAIに置き換わり、実際にライティング単価は下落傾向

 

・雑誌編集者

→ 企画アイデア、記事構成、下書き作成までAIがサポートできる時代へ

 

 

つまり──

「人間にしかできない」仕事 の境界線も、どんどん押し下げられている。

 

かつて「創造性」「共感」「個別対応」と言われた領域でさえ、量産型のそれっぽいものならAIが十分に出せる時代になったわけです。

 

もちろん、完全に代替できているわけではありません。

 

しかし──

 

・アイデアの独創性

・クオリティの高さ

・文脈に合わせた繊細な判断

 

こうした「人間らしさ」のハードル は明らかに上がっているのです。

 

"普通レベル"のクリエイティブなら、もはやAIで十分。

 

これが今、目の前で進行している現実です。

 

 

■まとめ:仕事は二極化していく

2015年のリストをまとめ直すと、こうなります。

 

「代替されにくい」とされた仕事も、部分的にかなり侵食され始めている

 

しかし、本物の創造性・本気の共感・深い個別対応は、まだAIに奪われていない

 

つまり──

これからは、仕事が「二極化」する。

 

・本気で突き抜けたプロフェッショナル

 → ますます価値が上がる

 

・中途半端な人

→ AIと競合して厳しくなる

 

こんな世界が、すでに始まっています。

 

 

 

 

著者情報


 

中平 裕貴(Yuki Nakahira)

株式会社エスワイシステム 関東事業本部

関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理

 

『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』

 

エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。

エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。

技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WONT TO」で動ける社会を目指す。

 

🛠 技術領域

アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、

📈 事業・営業経験

SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル

🏗 組織マネジメント

リーダー育成、組織改革、チームビルディング

 

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