中平コラムSeries65:『AIでなくなる仕事リスト』、今読み返すとツッコミどころ満載だったって話
2015年に野村総研が発表した「AIでなくなる職業リスト」を振り返り、AI時代に必要な視点を語る。

こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。
あのリスト、覚えていますか?
2015年──
まだ「AI」という言葉が、SFと現実の間にあった時代。
野村総合研究所が発表した、「AIによってなくなる仕事リスト」は当時大きな話題を呼びました。
「銀行員は消える!」
「タクシー運転手も消える!」
「経理は絶滅する!」
そんなショッキングなフレーズがメディアに踊り、世の中は「この先、仕事がなくなるのでは?」とざわつきました。
──しかし、あれから10年。
2025年の今、改めて振り返ると
思わずこうツッコミたくなります。
「全然、そうなってないやん!!」
2015年の「なくなる仕事リスト」
当時、「AIによって代替される可能性が高い」とされた職業は、たとえばこんな感じでした。
・一般事務員
・駅務員
・銀行窓口係
・タクシー運転手
・スーパー店員
・製パン工
・データ入力係
・通関士
・駐車場管理人
・宅配便配達員
・倉庫作業員
──要するに、ルーティン業務や肉体労働系の仕事が中心です。
「これらはAIとロボットに置き換わるだろう」と当時は本気で考えられていました。
では、今の現実は?
2025年現在。
たしかに一部は変化しました。
・銀行の店舗は減り、ネットバンキングが主流に
・スーパーにはセルフレジが普及
・配達にはドローンや無人配送ロボットの実験が進行中
しかし──
・駅には駅員さんが普通にいる
・タクシー運転手も、ウーバーもまだ「人」が運転している
・データ入力は多少自動化されたが、帳票チェックや修正作業は依然残っている
・宅配便はむしろネット通販の拡大で仕事が増えている
つまり、「仕事ごと消えた」ものはほとんどない。
むしろ、AIに補助されながら人間が一緒に働いている
──これが現実です。
一方、「代替されにくい」とされた仕事たち
参考までに、当時「AIによって代替されにくい」とされた職業も振り返ってみましょう。
・アートディレクター
・映画監督
・ゲームクリエイター
・医療ソーシャルワーカー
・ファッションデザイナー
・フリーライター
・コピーライター
・小学校教員
・精神科医
・雑誌編集者
これらは「創造」「共感」「個別対応」が求められるため、AIには難しいとされていました。
が──
ここも、10年経った今、事情が変わり始めています。
■これらも、AIに代替され始めている
・アートディレクター、映画監督、ゲームクリエイター
→ アイデア出しやビジュアルラフをAIが量産できるようになった
→ 人間が0→1を生み出す独占領域ではなくなりつつある
・ファッションデザイナー、漫画家
→ 画像生成AI(Stable Diffusion、Midjourneyなど)で、個人でも "それっぽい" ものが作れる時代に
・フリーライター、コピーライター
→ ChatGPTなどにより、ブログ記事・広告コピー・キャッチコピーが一瞬で量産可能
→ 低単価案件が一気にAIに置き換わり、実際にライティング単価は下落傾向
・雑誌編集者
→ 企画アイデア、記事構成、下書き作成までAIがサポートできる時代へ
つまり──
「人間にしかできない」仕事 の境界線も、どんどん押し下げられている。
かつて「創造性」「共感」「個別対応」と言われた領域でさえ、量産型のそれっぽいものならAIが十分に出せる時代になったわけです。
もちろん、完全に代替できているわけではありません。
しかし──
・アイデアの独創性
・クオリティの高さ
・文脈に合わせた繊細な判断
こうした「人間らしさ」のハードル は明らかに上がっているのです。
"普通レベル"のクリエイティブなら、もはやAIで十分。
これが今、目の前で進行している現実です。
■まとめ:仕事は二極化していく
2015年のリストをまとめ直すと、こうなります。
「代替されにくい」とされた仕事も、部分的にかなり侵食され始めている
しかし、本物の創造性・本気の共感・深い個別対応は、まだAIに奪われていない
つまり──
これからは、仕事が「二極化」する。
・本気で突き抜けたプロフェッショナル
→ ますます価値が上がる
・中途半端な人
→ AIと競合して厳しくなる
こんな世界が、すでに始まっています。
著者情報
中平 裕貴(Yuki Nakahira)
株式会社エスワイシステム 関東事業本部
関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理
『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』
エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。
エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。
技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WONT TO」で動ける社会を目指す。
🛠 技術領域
アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、
📈 事業・営業経験
SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル
🏗 組織マネジメント
リーダー育成、組織改革、チームビルディング
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