こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。
2024年〜2025年、企業統合のニュースが次々と飛び込んできますね。
・NTTとNTTデータの完全統合
・NTTデータ・マネジメントサービスとNTTデータ・スマートソーシングが合体して「NTTデータ・ウィズ」誕生
・ドコモ傘下のオリックス・クレジットは「ドコモ・ファイナンス」に
・コンコルディアは「横浜フィナンシャルグループ」へ社名変更予定
製造業でもアイシンやライクスなど合併ラッシュが進行中。
各言う我々エスワイシステムもSYSホールディングスという持ち株会社があり、年々グループ会社も増えていってます。
こうして企業が一つになるたびに、経営陣は「未来志向の経営統合!」と語りますが――
その裏では、“システム地獄”が静かに口を開けているのです。
合併したA社とB社。晴れて「株式会社ネオアスカ」みたいな名前になります。
でもその裏では:
・A社の「商品名」 → 商品名
・B社の「商品名」 → 製品名
・C社の「商品名」 → プロダクトネーム
しかも、フォーマットは
・A社 → 全角カタカナ
・B社 → 半角英数字+ひらがな混在
・C社 → 入力自由(!)
「この3社で在庫を統一管理します!」って、言うのは簡単なんですよ。
でも実際は、“三つの言語で書かれた魔法陣”を統一しろって言われてるようなもんなんです。
そこで登場するのが、「ゴールデンレコード(Golden Record)」。
これは、統合に際して「一番信頼できるデータ1件だけを残す」ための基準。
つまり、各社のデータを見比べて、
・品番の揺れ(AB12345 vs ab-12345)
・ブランド名の略称(ルイ・ヴィトン vs LV)
・登録日のフォーマット(2024/01/01 vs 01-Jan-2024)
を“真の姿”に統一していくんです。
…でもね、誰も「どれが真か」なんて教えてくれないんです。
それぞれの会社が「うちのが正しい」と言い張るから。
ゴールデンレコードを作る作業は、データの精査ではなく、感情の調整作業です。
データ統合は、“全員が同じ方向を向いている”ことが前提。
でも現実は…
・本社:「早く統合してKPI分析できるようにしたい!」
・子会社A:「とりあえず今のExcelで困ってないです」
・子会社B:「別にうちは吸収された気ないですけど…?」
この“統合に対するテンション差”が、
データ項目1個の統一に半年かかる理由になります。
なぜそんな苦労をしてまでデータを統合するのか?
答えはシンプル。
「このままだと、誰も全体像を把握できないから」です。
顧客の重複がわからない
全体在庫の最適化ができない
全社横断のレポートができない
ゴールデンレコードは、ただの“正確なデータ”じゃありません。
“未来の意思決定の土台”なんです。
このブログを書いている今も、どこかの会議室では「取引先コードが5桁か6桁か」で揉めてるはず。
でも、そこから逃げないのが統合エンジニアです。
データに潜む矛盾を解きほぐし、
温度差を超えて合意を作り、
未来に残せる「一つの真実」を作っていく。
それが、データ統合という仕事の正体です。
会社がひとつになっても、データは勝手にはまとまりません。
「ゴールデンレコードを作ろう!」なんて理想を掲げても、
その裏で起きるのは、「このカラム、うちのルールだと…」という静かな戦争。
“正しいデータ”を選ぶなんて、簡単そうに聞こえるけど、
実際は「誰が声が大きいか選手権」みたいなもの。
そして、各社のExcelと感情と文化をひとつにまとめる仕事に、
誰かが静かに向き合っているんです。
その人のキーボードの音が止まったとき、
ようやく“本当にひとつの会社になった”と言えるのかもしれません。
次回は、「データを統合したら価値が生まれるどころか、トラブルが増えた話」でもしましょうか(笑)
中平 裕貴(Yuki Nakahira)
株式会社エスワイシステム 関東事業本部
関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理
『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』
エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。
エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。
技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WONT TO」で動ける社会を目指す。
🛠 技術領域
アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、
📈 事業・営業経験
SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル
🏗 組織マネジメント
リーダー育成、組織改革、チームビルディング
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