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中平コラムSeries74:“この人いないと回らない問題” をどうシステムで解決するかって話

作成者: 中平裕貴|2025年05月18日

こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。

 

 

システム開発の現場で、いろんな業界のお客様と接していると、よく聞くワードがあります。

 

「いや〜、それは◯◯さんじゃないとわからないですね。」

 

……出た!属人化の神、降臨!

 

この “◯◯さん”という存在 、全業界にいます。しかも、だいたい定年間近か、休みが取れない。

 

 

属人化がヤバいと言われる理由

まず、なぜ「この人いないと回らない」が問題になるのか?というと...

 

・急に休んだら納期が吹っ飛ぶ

・辞めた瞬間にレガシー業務が誰にも継承されない

・ブラックボックスが増えて改修コストが倍増する

・しかも大体その人、マニュアル書いてない

 

属人化は、納期・品質・保守性の三本柱すべてにダメージを与える、ITの天敵です。

 

 

業界別「属人化の神エピソード」

🚛物流:「積載率を見て“バン”と判断できるのはあの人だけ」

→ なぜかバン詰めの瞬間に数学を超越した判断が下される。

 

🏠不動産:「ベテランが “これは事故物件だろうな” って空気で察知してる」

→ レコメンドAIでは代替不可能。もう霊感。備考の謎マーク

 

💸金融:「月末処理は〇〇さんがマクロボタン押して成仏させてます」

→ 何が起きてるのか誰もわからないけど、月初は資料が揃ってる不思議。

 

🌐通信:「プロビジョニング設定は△△さんがSSHで手入力です」

→ オートメーションとは。なにそれ美味しいの?

 

 

属人化と戦うシステム設計3原則

① “その人の脳内”を構造化する

「どうしてこのときAではなくBを選ぶのか?」をIF文レベルで聞き出す。

判断基準が「長年の勘」や「取引先のクセ」だったりすることも多いので、ルールと例外を分離して設計。

 

② “押すだけ”の仕組みに落とし込む

マクロ・テンプレ・UIカスタムで、本人以外でも「手順通りやればできる」状態 をつくる。

属人→半属人→定型化、のステップが大事。

 

③ “ブラックボックス化”を避けるログ設計

「何が行われたか」を後から検証できる仕組みをセット。

属人神が何をしたかを “ログの書” として後世に残す(ログは遺産)。

 

それ、ほんとに全部システム化するべき?

ただし、こんなこともあります。

 

「いや、これはもう◯◯さんの存在価値でしょ」

「この人がいるから業務が円滑に回ってるんだよね」

 

それって、“文化” なんですよね。

仕組みにすべき属人化と、“味” として残すべき属人技術を切り分けるのが腕の見せどころです。

 

 

最後に:属人化の神と、共に歩む

システム化とは、“すべてを人から奪う” ことではありません。

 

「その人がいなくても業務は回る」より、

 

「その人がいるともっと上手く回る」

 

そんな設計ができると、現場も納得感があり、

属人の神々も「おぉ、わしの業務が継承されたか…」と笑って旅立てるわけです。

 

 

 

 

著者情報


 

中平 裕貴(Yuki Nakahira)

株式会社エスワイシステム 関東事業本部

関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理

 

『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』

 

エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。

エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。

技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WONT TO」で動ける社会を目指す。

 

🛠 技術領域

アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、

📈 事業・営業経験

SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル

🏗 組織マネジメント

リーダー育成、組織改革、チームビルディング

 

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