中平コラムSeries74:“この人いないと回らない問題” をどうシステムで解決するかって話
全業界に存在する“属人化の神”。属人化とシステム化のリアルな向き合い方と、仕組みでの解決方法を語ります。

こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。
システム開発の現場で、いろんな業界のお客様と接していると、よく聞くワードがあります。
「いや〜、それは◯◯さんじゃないとわからないですね。」
……出た!属人化の神、降臨!
この “◯◯さん”という存在 、全業界にいます。しかも、だいたい定年間近か、休みが取れない。
属人化がヤバいと言われる理由
まず、なぜ「この人いないと回らない」が問題になるのか?というと...
・急に休んだら納期が吹っ飛ぶ
・辞めた瞬間にレガシー業務が誰にも継承されない
・ブラックボックスが増えて改修コストが倍増する
・しかも大体その人、マニュアル書いてない
属人化は、納期・品質・保守性の三本柱すべてにダメージを与える、ITの天敵です。
業界別「属人化の神エピソード」
🚛物流:「積載率を見て“バン”と判断できるのはあの人だけ」
→ なぜかバン詰めの瞬間に数学を超越した判断が下される。
🏠不動産:「ベテランが “これは事故物件だろうな” って空気で察知してる」
→ レコメンドAIでは代替不可能。もう霊感。備考の謎マーク
💸金融:「月末処理は〇〇さんがマクロボタン押して成仏させてます」
→ 何が起きてるのか誰もわからないけど、月初は資料が揃ってる不思議。
🌐通信:「プロビジョニング設定は△△さんがSSHで手入力です」
→ オートメーションとは。なにそれ美味しいの?
属人化と戦うシステム設計3原則
① “その人の脳内”を構造化する
「どうしてこのときAではなくBを選ぶのか?」をIF文レベルで聞き出す。
判断基準が「長年の勘」や「取引先のクセ」だったりすることも多いので、ルールと例外を分離して設計。
② “押すだけ”の仕組みに落とし込む
マクロ・テンプレ・UIカスタムで、本人以外でも「手順通りやればできる」状態 をつくる。
属人→半属人→定型化、のステップが大事。
③ “ブラックボックス化”を避けるログ設計
「何が行われたか」を後から検証できる仕組みをセット。
属人神が何をしたかを “ログの書” として後世に残す(ログは遺産)。
それ、ほんとに全部システム化するべき?
ただし、こんなこともあります。
「いや、これはもう◯◯さんの存在価値でしょ」
「この人がいるから業務が円滑に回ってるんだよね」
それって、“文化” なんですよね。
仕組みにすべき属人化と、“味” として残すべき属人技術を切り分けるのが腕の見せどころです。
最後に:属人化の神と、共に歩む
システム化とは、“すべてを人から奪う” ことではありません。
「その人がいなくても業務は回る」より、
「その人がいるともっと上手く回る」。
そんな設計ができると、現場も納得感があり、
属人の神々も「おぉ、わしの業務が継承されたか…」と笑って旅立てるわけです。
著者情報
中平 裕貴(Yuki Nakahira)
株式会社エスワイシステム 関東事業本部
関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理
『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』
エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。
エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。
技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WONT TO」で動ける社会を目指す。
🛠 技術領域
アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、
📈 事業・営業経験
SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル
🏗 組織マネジメント
リーダー育成、組織改革、チームビルディング
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