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中平コラムSeries85:ローコード開発で爆速開発!のはずが...なぜか泥沼になるって話

作成者: 中平裕貴|2025年06月03日

こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。

 

 

最近、ローコード開発ツールに触れる機会がめちゃくちゃ増えてきました。

たとえば「〇〇Studio」とか「△△Flow」とか。

 

「おいおい、もはやExcel感覚やん」と思わせるそのUIに、エンジニア達がざわついています。

 

でも、「ローコード=工数削減」と思って手を出すと、意外と泥沼にハマります。

 

 

設計に“癖”あり。知らずに進むと設計破綻

ローコードツールは、「癖」があります。

UIは見やすくても、裏側の処理はクセつよなんです。

 

例えば、

 

  • DBアクセスの設計が独特
  • コンポーネントの再利用性が低い
  • バージョンアップで画面が突然レイアウト崩壊

 

……などなど、“触ればわかる” タイプの癖に溢れています。

 

慣れてないと「うわ、これ、最初からコードで書いたほうが早かったのでは……?」ってなります。

 

 

カスタマイズの地獄:ローコードなのにハイコスト?

しかも、どんなに「ノーコード!ローコード!」と言っていても、

業務にちゃんと合わせようとすると、結局カスタマイズが必要になります。

 

「こういう例外処理だけは外でやって」とか

「この一覧だけExcel出力したい」とか

 

そのたびに無理やり関数呼んだり、JavaScript をねじ込んだりして、

気づいたら「これ...結局普通のWebアプリ作ってないか?」みたいな謎構造になります。

 

 

そして、気づくと“モンスター”が生まれている

こうして生まれたシステムたちは、だいたい数年後にこう言われます。

 

「なんか、前任が作ったローコードのやつ、めっちゃブラックボックスなんですけど...」

 

そう、それは ローコードツールという名の魔法で召喚されたモンスターアプリ

保守性ゼロ。拡張性ゼロ。愛着もゼロ。

 

しかも、そのツール自体が「今やもうマイナーで更新も止まってます」なんてパターンもザラにある。

 

 

SaaS型ローコード開発ツールは万能か?

「それならもう、SaaSに任せちゃえばよくない?」

 

はい、その通り。

 

“SaaS型のローコード開発ツール” は、導入のハードルも低く、セキュリティや保守面での安心感もあります。

 

でも、実際に現場で使ってみると──万能ではないんです。

 

  • “かゆいところ” に手が届かない(例:業務フローに応じた柔軟な画面遷移)
  • 権限設計がツール寄りで、現場の組織構造とズレる
  • バージョンアップやUI変更が突然やってくる(ユーザー「聞いてない!」)
  • そして数年後、サービス終了 or ライセンス再契約

 

つまり、ローコードで組んだのに再構築が必要になる。

 

IT業界、リフォーム多すぎ問題

 

 

まとめ:ローコードは、魔法のツールではなく、武器の一種

ローコード開発は生産性を爆上げできる可能性がある一方、

設計・運用の戦略を間違えると「素人が魔法を乱用した世界」みたいになります。

 

でも、設計思想がわかってるチームがうまく使えば、めちゃくちゃ強力な武器になるのも事実。

 

要は、「ローコードを使う」というより、「ローコードでどう設計するか」が肝なんです。

 

次回は、そんなローコード地獄をくぐり抜けてきた私が、

「じゃあ、どうすればうまくいくのか?」ということについて語ってみようと思います。

 

ではまた!

 

 

 

 

著者情報


 

中平 裕貴(Yuki Nakahira)

株式会社エスワイシステム 関東事業本部

関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理

 

『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』

 

エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。

エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。

技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WONT TO」で動ける社会を目指す。

 

🛠 技術領域

アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、

📈 事業・営業経験

SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル

🏗 組織マネジメント

リーダー育成、組織改革、チームビルディング

 

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