中平コラムSeries85:ローコード開発で爆速開発!のはずが...なぜか泥沼になるって話
「ローコードなら誰でも簡単に作れる」は幻想なのか?ローコード開発ツールとの格闘のリアルを綴ります。

こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。
最近、ローコード開発ツールに触れる機会がめちゃくちゃ増えてきました。
たとえば「〇〇Studio」とか「△△Flow」とか。
「おいおい、もはやExcel感覚やん」と思わせるそのUIに、エンジニア達がざわついています。
でも、「ローコード=工数削減」と思って手を出すと、意外と泥沼にハマります。
設計に“癖”あり。知らずに進むと設計破綻
ローコードツールは、「癖」があります。
UIは見やすくても、裏側の処理はクセつよなんです。
例えば、
- DBアクセスの設計が独特
- コンポーネントの再利用性が低い
- バージョンアップで画面が突然レイアウト崩壊
……などなど、“触ればわかる” タイプの癖に溢れています。
慣れてないと「うわ、これ、最初からコードで書いたほうが早かったのでは……?」ってなります。
カスタマイズの地獄:ローコードなのにハイコスト?
しかも、どんなに「ノーコード!ローコード!」と言っていても、
業務にちゃんと合わせようとすると、結局カスタマイズが必要になります。
「こういう例外処理だけは外でやって」とか
「この一覧だけExcel出力したい」とか
そのたびに無理やり関数呼んだり、JavaScript をねじ込んだりして、
気づいたら「これ...結局普通のWebアプリ作ってないか?」みたいな謎構造になります。
そして、気づくと“モンスター”が生まれている
こうして生まれたシステムたちは、だいたい数年後にこう言われます。
「なんか、前任が作ったローコードのやつ、めっちゃブラックボックスなんですけど...」
そう、それは ローコードツールという名の魔法で召喚されたモンスターアプリ。
保守性ゼロ。拡張性ゼロ。愛着もゼロ。
しかも、そのツール自体が「今やもうマイナーで更新も止まってます」なんてパターンもザラにある。
SaaS型ローコード開発ツールは万能か?
「それならもう、SaaSに任せちゃえばよくない?」
はい、その通り。
“SaaS型のローコード開発ツール” は、導入のハードルも低く、セキュリティや保守面での安心感もあります。
でも、実際に現場で使ってみると──万能ではないんです。
- “かゆいところ” に手が届かない(例:業務フローに応じた柔軟な画面遷移)
- 権限設計がツール寄りで、現場の組織構造とズレる
- バージョンアップやUI変更が突然やってくる(ユーザー「聞いてない!」)
- そして数年後、サービス終了 or ライセンス再契約
つまり、ローコードで組んだのに再構築が必要になる。
IT業界、リフォーム多すぎ問題 。
まとめ:ローコードは、魔法のツールではなく、武器の一種
ローコード開発は生産性を爆上げできる可能性がある一方、
設計・運用の戦略を間違えると「素人が魔法を乱用した世界」みたいになります。
でも、設計思想がわかってるチームがうまく使えば、めちゃくちゃ強力な武器になるのも事実。
要は、「ローコードを使う」というより、「ローコードでどう設計するか」が肝なんです。
次回は、そんなローコード地獄をくぐり抜けてきた私が、
「じゃあ、どうすればうまくいくのか?」ということについて語ってみようと思います。
ではまた!
著者情報
中平 裕貴(Yuki Nakahira)
株式会社エスワイシステム 関東事業本部
関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理
『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』
エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。
エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。
技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WONT TO」で動ける社会を目指す。
🛠 技術領域
アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、
📈 事業・営業経験
SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル
🏗 組織マネジメント
リーダー育成、組織改革、チームビルディング
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