中平コラムSeries86:ローコード地獄の潜り抜け方って話
「ローコードで爆速開発だ!」と意気込んでたら、いつの間にか設計迷路で迷子になっていた──そんなあなたに贈る、ローコード地獄の“攻略マニュアル”。

こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。
前回「ローコード開発で生産性は上がるのか?」という記事で、「ローコード地獄」にハマる話を書きました。
(前回の記事はこちらから → 中平コラムSeries85:ローコード開発で爆速開発!…のはずが、なぜか泥沼になるって話)
今回は、その地獄からどう這い上がるかの話です。
地獄を抜ける第一歩:ツールの特性、ぜんぶ知ってますか?
ローコードツール、見た目は優しげでも中身は割とクセ強め。
まずはその特性を理解することからスタートです。
・ワークフロー強めなのか
・データモデリング重視なのか
・UIテンプレ型なのか、DIY型なのか
これを知らずに設計を始めると、「方眼紙に油性ペンで書いた設計書」みたいになります。
消せない、直せない、誰も幸せにならない。
とりあえず、1.5倍の工数を見積もっておこう(大体ゆるされない)
地獄脱出その2:検証期間をケチると後で泣く
ローコード導入でありがちなのが
「1ヶ月でプロトタイプ出して、2ヶ月目には本番!」みたいな甘いスケジュール感。
でもそれ、“未知の生き物をペットにする勢い” ですよ?
最低でも1ヶ月は触り倒す検証期間を確保しましょう。
中で何が起きてるのか、どう保存されてるのか、“黒魔術”みたいな裏設定を探し当てる時間が必要です。
地獄脱出その3:触って、触って、触り倒せ!
仕様書を読むより、自分で触ったほうが早い。
ローコードは「百聞は一見に如かず」どころか、「一操作は百資料に勝る」です。
プロジェクト初期、職人みたいに触り続ける人が1人でもいると、成功率がぐんと上がります。
地獄脱出その4:設計思想を“合わせにいく”覚悟
ローコードには “思想” があります。
たとえば、「すべてのデータはテーブルを通れ」とか「承認ワークフローは絶対だ」とか。
この思想に逆らうと、まるで「フランス料理で醤油ラーメンを作る」ような悲劇が起こります。
だから、「思想に合わせた設計」をする勇気が大事。
逆に合わないなら、「ここは外注 or コーディング」と割り切る判断力も必要。
地獄脱出その5:Accessの霊を呼び出そう
ローコードツールの元祖って、たぶん「Microsoft Access」だと思うんです。
あれって、
・テーブル設計ができて
・フォームでUIが作れて
・マクロとVBAで動作も作れて
・ユーザーは満足してくれる
そう、全部あるんですよ。
Accessを触っておくことで、
「このツールはAccessと似てるな」とか「これはAccessの“あれ”の進化形だな」とか、ローコードの “パターン予測” がつくようになります。
Microsoft Access、実は今でも生きてます。
昭和の幽霊じゃなくて、令和のベテラン。
一般論も添えておきます
ここまで熱量高めに語りましたが、冷静にまとめると
- 目的を明確にする(社内利用か、社外公開か)
- 技術選定に複数人の目を入れる(1人判断は危険)
- 継続的な見直しサイクルを設ける
- そのツールをやめるときの撤退戦も考える
こうしたポイントも忘れずに。
ローコード導入は短期での爆速と、長期での保守性のバランスが命です。
まとめ:地獄を抜けたその先に…
ローコードは、道具です。
使い方次第で、あなたの味方にもなれば、敵にもなる。
その鍵は、「知って」「触って」「設計する」──
そして Access に手を合わせる勇気かもしれません。
ではまた!
著者情報
中平 裕貴(Yuki Nakahira)
株式会社エスワイシステム 関東事業本部
関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理
『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』
エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。
エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。
技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WONT TO」で動ける社会を目指す。
🛠 技術領域
アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、
📈 事業・営業経験
SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル
🏗 組織マネジメント
リーダー育成、組織改革、チームビルディング
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