
こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。
先週末、任せきりだった領域で綻びが出て、急きょ現場に入って立て直し作業に追われました。
そのバタバタの最中、ふと気づいたんです。
「ああ、また “美しい理想” を作ってしまってたな…」
会議室で語られる立派な理想。
「お客様に最高の価値を提供する組織になります!」「全員が成長できるチームを作りましょう!」
…美しい。だけど、なぜかメンバーの目が冷めていく。
今週は、この現象の正体を追ってみました。
見えてきたのは、理想そのものではなく、“作り方”の問題 だったんです。
「美しい理想」が白けられる理由
月曜の朝、こんな問いを投げかけてみました。
> あなたの職場の「理想」を思い浮かべてください。
> それを聞いて、胸が熱くなりますか?それとも「また始まった…」と思いますか?
もし後者なら、それは “美しい理想” の可能性が高い。
美しい理想の特徴:
- 抽象的で誰でも言える
- 行動が見えない
- 自分ごとにならない
(例)
「顧客満足度No.1を目指す」
→ で、私は明日何をすれば?
やりたい理想の特徴:
- 具体的で行動が見える
- 数値目標が明確
- 自分の役割が想像できる
(例)
「年商15億達成のために、宇宙イチ提案力の高いチームになる」
→ 提案力か、私にもできそう!
この「温度感の差」、現場は敏感に感じ取っているんです。
理想は「理念」ではなく「逆算」から生まれる
多くのリーダーがやりがちな間違いは、こうです。
「理念を語って、あとから数値を当てはめる。」
でも僕が現場で学んだのは、逆のアプローチ でした。
「まず「現実的な数値目標」を置き、そこから “理想” を逆算する。」
(例)
❌「お客様第一の組織になって、売上15億を目指そう」
⭕「どうしたら “宇宙イチ素敵に” 売上15億を達成する組織になるか?」
この「宇宙イチ素敵に」のような修飾語があることで、 現実感とワクワクの両立 が起きる。
- 数値がある → 脳が「どうやって?」と動き出す
- ワクワク語がある → 心が「ちょっとやってみたい」と感じる
これが、「やりたい理想」の設計図なんです。
心理的安全性という、見えない土台
ただし、いくら問いがよくても、こう言われたら固まります。
「何か意見ありますか?」
→ シーン…
そこで大事なのが、「仕組み」で安全性を確保する こと。
僕が現場で使っている方法:
「本音は、紙に書かせる」
たった一言、
「今から3分、紙に書いて提出してください」
これで、会議の空気がガラッと変わります。
なぜ紙が効くのか?
- 匿名性の安心感
- 考える時間の確保
- 上司の顔色を見ない
- 全員参加の強制力
「まず称賛する」という、最強のルール
意見を読み上げるとき、最も大事なのがこのルール。
出された意見は、必ずまず称賛する:
❌「これは現実的じゃないですね…」
⭕「面白い視点ですね!○○の部分が特に興味深いです」
そして、
ルールを明文化する:
❌ 批判・否定 → NG
⭕ 提案・リクエスト・質問 → OK
批判を恐れなくなったとき、“本当にやりたいこと” が言葉になる。
「作るのは全員」「決めるのは一人」
最後の鍵は、この “絶妙な分担バランス” 。
- チーム全員で本音を出し合い、繋げて一文をつくる
- 一文目は、数値目標から始める
- 出された意見を分類し、構造化して再構成する
- 最終決定は、代表者(リーダー)が責任を持って判断する
「これは、自分たちの北極星(理想)である」
こうして、誰も否定できない “腹落ちした理想” が生まれるんです。
「共犯者」が生み出す理想は、強い
なぜ、“みんなで作った理想” は強いのか?
答えはシンプル。
「自分も “共犯者” だから、否定できない」
「この理想、現実的じゃないよね」 「でも君も一緒に作ったよね?」
この心理効果は、強烈です。
エピローグ:バタバタの現場で見つけた、“やりたい理想”
冒頭の緊急立て直し。
最初は、僕が一人で「こうすべきだ」という “美しい解決策” を考えていた。
でも、メンバーを巻き込んで「どうしたい?」を話し合った瞬間、空気が変わったんです。
「あ、それなら面白そう」 「私もやってみたいかも」
結果、想定以上のスピードで立て直しが完了しました。
リーダーの仕事は、理想を語ることじゃない。 その理想に向かうストーリーを、“みんなで描く”こと。
来週は、どんな事件が待っているでしょうか。
また新しい「やりたい理想」が、生まれるかもしれません。
著者情報
中平 裕貴(Yuki Nakahira)
株式会社エスワイシステム 関東事業本部
関東第2事業部 3SEシステム5部 事業部長代理
『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』
エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。
エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。
技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WANT TO」で動ける社会を目指す。
🛠 技術領域
アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、
📈 事業・営業経験
SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル
🏗 組織マネジメント
リーダー育成、組織改革、チームビルディング
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