中平コラムSeries17:AI PoCの進め方と成功のカギ:KPI設計から評価指標まで徹底解説するぞって話

AI PoCを成功させるために、今すぐKPI設計のポイントをチェック!

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  • こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。

     

    AIを導入する際、いきなり本格運用するのではなく、PoC(Proof of Concept:概念実証)を実施するのが一般的です。

    しかし、PoCを実施したものの「期待した成果が得られなかった」「本番導入に進めなかった」というケースも多く見られます。

    その原因の多くは、適切なKPI(評価指標)を設定していないことや、PoCの目的が曖昧なことにあります。

     

    本記事では、AI PoCを成功させるためのポイント、KPIの作り方、評価指標の設定方法を詳しく解説します。

    これからAI PoCを実施しようと考えている方、企業でAIの活用を推進している方はぜひ参考にしてください。

     

    それでは見ていこう!

     

     

    AI PoCとは?なぜ必要なのか?

    AI PoCとは、AIを本格導入する前に、技術的な実現可能性やビジネス価値を検証するプロセスです。

     

    企業がAIを導入する際に、以下のような課題をクリアするためにPoCを行います。

     

    🔹 技術的な検証:「このAIは本当に実用的な精度が出せるのか?」
    🔹 ビジネス適用の検証:「このAIはコスト削減や業務効率化に貢献するのか?」
    🔹 ROI(投資収益率)の試算:「導入した場合の投資対効果はどうなるのか?」

     

    しかし、多くのPoCが「目的が曖昧で失敗する」という課題に直面しています。

     

    成功するPoCのカギは、最初に明確なKPIを設定し、成果を測定できるようにすることです。

     

    例えば、新しい掃除機を買うとき、いきなり高価な最新モデルを購入するのではなく、家電量販店で試したり、レンタルして使い勝手を確かめたりしますよね。

     

    「本当にゴミがしっかり吸えるのか?」

    「音はうるさくないか?」

    「コードレスは便利か?」

     

    などを確認して、納得してから購入するはずです。

     

    AI PoCもこれと同じで、いきなり導入するのではなく、「このAIはちゃんと期待通りに動くのか?」を事前にテストし、基準をクリアすれば本格導入する、という流れになるんです。

     

     

    AI PoCの成功に必要なKPI設計

    AIで失敗しがちなポイントは、「何をもって成功とするのか」が曖昧なことです。

     

    明確なKPIを設定することがPoCの成功を左右します。

     

    KPIを設計する際のポイント

    ✅「技術的なKPI」と「ビジネス的なKPI」を分けて設定する
    ✅ 目標達成の閾値(しきい値)を決める(例:精度90%以上ならOK)
    ✅ 段階的なKPIを設定し、フェーズごとに評価する

     

    技術的なKPIの例

    📌 画像認識AI

    • 精度(Accuracy):90%以上
    • 誤分類率(False Positive):5%以下
    • 推論速度:1画像あたり2秒以内

     

    📌 AIチャットボット

    • 正答率(Correct Response Rate):80%以上
    • 平均レスポンス時間:2秒以内

     

    📌 異常検知AI

    • 異常検知率(Recall):95%以上
    • 偽陽性率(False Positive Rate):10%以下

     

    ビジネス的なKPIの例

    📌 業務効率化

    • AI導入後の業務時間削減率(30%以上
    • 作業コストの削減額(年間○○万円

     

    📌 顧客満足度向上

    • AIチャットボット導入後の問い合わせ対応時間の短縮率(20%以上
    • CS(顧客満足度)スコアの向上

     

    📌 売上向上

    • AI活用後の成約率向上(10%以上
    • リード獲得数増加(20%以上

     

    要は、「このAIが本当に役に立つのか?」を、技術面とビジネス面の両方から具体的な数値で判断できるようにすることが重要ということです。

     

    KPIを明確にしないと、「なんとなく良さそうだけど、導入するべきか判断できない…」とPoCが迷走する原因になります。

     

     

    AI PoCの目標設定と評価指標

    PoCの評価指標を決める際のフレームワーク

    1️⃣ 技術的な成功基準 → AIが求める精度・性能を達成しているか?
    2️⃣ ビジネス的な価値 → 業務改善やコスト削減に貢献しているか?
    3️⃣ 本格導入の判断基準 → PoC成功後にどのようにスケールアップするか?

     

    📌 評価の具体例

     

    項目 成功基準 評価方法

    画像認識精度

    90%以上

    AIモデルのテストデータで測定

    異常検知AI

    偽陽性率10%以下

    PoC環境で実際のデータを使用

    業務効率化

    作業時間30%削減

    従来の業務時間と比較

    コスト削減

    年間500万円以上削減

    現行システムと比較

     

     

    このように、PoCの成功基準を明確にすることで、導入後の判断がスムーズになります。

     

     

    AI PoCの成功事例

    ① 入館証のAI管理で警備員を削減

    背景:
    オフィスビルでは、入館者の確認のために複数のドアに警備員を配置していた。

    しかし、警備員の配置コストが高く、効率的な運用が求められていた。

     

    PoCのKPI:
    ✔ AI入館システムの認証精度:98%以上
    ✔ 警備員の配置コスト削減:50%以上

     

    結果:
    入館証をかざすことでAIが自動で入館制御を行うシステムを導入。

    PoCで認証精度が期待値をクリアしたため、本番導入へ進み、結果的に複数のドアに配置していた警備員の削減が可能になった。

    警備コストの削減と、セキュリティの向上を同時に実現した。

     

    ② 画像分類の自動化:手作業での仕分けをAIで効率化

    背景:
    これまで不動産会社では、部屋写真を手作業で確認し、カテゴリごとに分類していた。

    しかし、作業員によって分類の基準にばらつきがあり、処理に時間がかかるという課題があった。

     

    PoCのKPI:
    ✔ 画像分類の精度:98%以上
    ✔ 処理時間:手作業の50%以下

     

    結果:
    AIによる画像認識システムを導入することで、部屋写真の自動分類を実現し、作業時間を約60%削減。

    PoCの目標を達成したため本番導入へ進み、人的ミスの削減と業務の効率化に貢献した。

     

     

    まとめ:PoCを成功させるためのポイント

    ✅ PoCは成功基準を明確にすることが重要!
    ✅ KPIと評価指標を具体的に決めてから実施する!
    ✅ PoC後の展開を見据えた計画を立てる!

     

    AI PoCを単なる「試し」ではなく、本番導入につなげるプロセスとして設計することが成功のカギです。

    AIのPoCを検討している方は、ぜひKPI設計を最初にしっかり決めることを意識してください!

     

    AIのPoCをせずにいきなり本番導入すると、想定外の問題が起こって失敗することがあります。

     

    例えば、『ドクターストーン』の千空がコーラを作るとき、いきなり大量生産は100億%しませんよね?

    まずは小規模で試作しながら、


    ✔ 味は再現できているか?(技術的KPI)
    ✔ 材料のコストや調達難易度は適正か?(ビジネス的KPI)
    ✔ みんなが「うめぇ!」と言ってくれるか?(ユーザー評価)

     

    こうしたPoCをしっかり行うことで、「よし、これならいける!」と確信を持って本格生産に進めるわけです。

    もしPoCなしでいきなり大量生産していたら、「まずっ!」「材料コスト高すぎ!」となり、大失敗するかもしれません。

     

    AIのPoCも同じで、「このAIは本当に役に立つのか?」を、技術面・コスト面・ビジネス面で小規模にテストすることが重要なのです。

     

     

     

     

    著者情報


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    中平 裕貴(Yuki Nakahira)

    株式会社エスワイシステム 関東事業本部

    関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理

     

    『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』

     

    エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。

    エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。

    🛠 技術領域

    アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、

    📈 事業・営業経験

    SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル

    🏗 組織マネジメント

    リーダー育成、組織改革、チームビルディング

     

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