
本事例のポイント
当時、プロ野球を支える公式記録管理システムは構築から約20年が経過し、システムの更新が検討されていました。当社は、このシステム更新の開発パートナーとなったベンダー様のもとで、プロジェクトの開始当初から参加しました。
大規模なシステム更新であったため、試合入力、データ管理、運用監視、検索、配信といった各画面機能の開発に携わり、プロジェクトの開始からリリースまで約4年間にわたり開発を担当しました。
さらに、長い開発期間を通じてシステムや業務の理解を深め、その経験と知識を活かしてリリース後も現在に至るまで運用保守を行い、システムのライフサイクルを総合的に支援している事例となっています。
プロジェクト前の課題 |
・オフコンを使用したシステムだったため、将来を見据えたときに機能追加や拡張性に不安がある |
・単一サイトの運用であり、災害発生時に問題が発生してしまう可能性がある |
・システムを運用できる技術者の不足やブラックボックス化が懸念されており運用に不安がある |
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課題解決の効果 |
・クラウドサービス上にシステムを構築することによる機能拡張性の確保 |
・アプリとインフラ両方のシステム安定稼働を可能とし、日々の運用に支障が出ないようにした |
・開発メンバーがシステムリリース後も客先オフィスで一緒に運用保守の業務支援することで、安定した運用体制を構築 |
背景・課題
長期運用されていたプロ野球公式記録管理システムの刷新
日本プロ野球の開幕以降、試合内容や選手成績は1989年に構築された旧プロ野球公式記録管理の専用システムに記録されていた。
このプロ野球公式記録管理システムは過去の公式記録や様々な分析記録を調べるための検索サービスと、リアルタイムでデータを提供する速報配信サービスという大きく2つのサービスを提供していました。
しかし、この旧システムはオフコンを使用したシステムであったため、将来を見据えた時に機能追加や拡張性、災害発生時の対策などにおいて様々な課題がありました。また、この旧システムは長い年月をかけて運用されてきましたが、運用ルールなどが文書化されておらず、システム面だけでなく運用体制面にも課題がありました。
このような背景から、システム構築から20年ほど経った2011年にプロ野球公式記録管理システム刷新に向けたプロジェクトがスタートしました。
プロジェクト概要と効果
より柔軟性が高く、運用しやすいシステムへ
当プロジェクトでは現行システムのサービスレベルを維持しつつ、プラスアルファの機能を加えるという方針で、日本の宝であるプロ野球の公式記録のデータを活かして新事業の創出を目指していました。
当プロジェクトを成功させてこの方針を実現するためには、「野球」のルールを知ることが必要不可欠でした。このため、当社プロジェクトメンバーも野球規則を熟読するなどして、プロジェクト全体で顧客業務と要望の理解に努め、それを形に出来るよう尽力しました。
現場業務を知り尽くしている顧客担当者と折衝を行い、シーズン中もオフシーズン中でも徹底的に討論を重ね、課題に対する解決策を見出し、最終的には新システムをお客様に使って頂きながら、その意見をシステムに反映していくことで100%に近いレベルで要望を実現できました。
また、開発当初からプロジェクトに携わっていたメンバーがシステム刷新後も保守開発や運用業務に従事することで、安定した運用体制を構築しており、現場要望を都度反映できる環境が整っています。
今後の展望
どんなイレギュラーにも対応できるシステム
プロ野球の試合は無限ともいえるパターンがあり、1つとして同じ試合はありません。
あらゆるケースを想定したアプリケーション設計を行い、またそれを実現する技術が求められましたが、お客様の新システムに対する期待や熱意に応えたいという一心で、最終的にはご満足を頂ける柔軟で安定的なシステムを構築することが出来ました。
今後も世の中では法律が変わったり、スポーツの世界でもルールの変更は今後も想定されます。
野球においても投手・野手両方で出場する「二刀流」といった昔では考えられなかった選手が登場しています。
当社はこれからもお客様の業務や運用を鑑みて、どんなケースにも対応できる拡張性と保守性のあるシステム開発を心掛け、またそれをしっかり運用保守することで、お客様業務を支援していきたいと考えております。