
本事例のポイント
東建コーポレーション株式会社様(以下、東建コーポレーション様)は賃貸仲介で、全国約11,000店舗(2020年11月現在)のネットワークを展開。また、インターネットによる賃貸物件検索サイト「ホームメイト」を運営されています。
当時、東建コーポレーション様では、現場でのデータ・画像の登録量が膨大であることで、多くの作業時間と現場への負担をかけてしまっていることが運用面の課題となっておりました。
そこで、AIの画像解析技術を用いたシステムを開発・導入し、これまでは手作業で分類していた部屋の内観写真などをAIが画像の中身を見て自動分類(名前付け)することによって大幅な業務時間短縮を実現しました。
導入前の課題 |
・現場でのデータ・画像の登録量が膨大であり、多くの作業時間と現場への負担がかかる |
・会社方針により、業務を効率化を目的としたAIの活用を検討していかなけらばならない |
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課題解決の効果 |
・全社概算で毎日13時間程度の業務時間を短縮 |
・AIを用いた画像認識による内観写真の自動分類(名前付け)システムの開発により、業務効率化を実現 |
背景・課題
現場業務の効率化を目指して
東建コーポレーション様は、社内に充実した情報システム部門を持ち、ソフトウェアによる顧客サービスの向上、また競争力の強化や業務効率化などへのIT活用を強く推進してきました。東建コーポレーション様の中核事業の一つである、賃貸仲介では、全国約11,000店舗(2020年11月現在)のネットワークを展開。また、インターネットによる賃貸物件検索サイト「ホームメイト」を運営。サイトへの掲載件数は、約40万件にのぼり、「素敵なお部屋がきっと見つかる」検索サイトとなっています。
「ホームメイト」には、各賃貸物件の、間取りや立地、設備等の基本情報はもちろんの事、その写真や、動画、パノラマビューも掲載されており、検索されるお客様にとって大変見やすいものとなっています。ただ、その反面、現場でのデータ・画像の登録量も膨大であり、写真は1物件あたり平均20枚、累積で毎月約28万枚の登録と、多くの作業時間と現場への負担がかかっています。
東建コーポレーション様内では、会社としても、また情報システム部門としてもAI活用の方針があり、この写真の登録作業に着目、画像解析を用いての業務効率化を検討する事となりました。この度、当社のもつAI技術を紹介する中で、東建コーポレーション様が抱える上記課題とマッチし、実現する運びとなりました。
選定の理由
決め手はオーダーメイド
東建コーポレーション株式会社 情報システム部 システム開発二課 事績課長 山本 章貴 氏 |
東建コーポレーション株式会社 情報システム部システム開発1課 次長 細江 美成 氏 |
「現場業務に合わせる為には多くの要求事項をクリアする必要があり、 エスワイさんはそれに答えるオーダーメイドの対応が可能であったこと、オフショア先である西安裕日との連携ができること、あとは事前の精度検証が行われ安心して導入できた事でしょうか。」(山本氏)
本システムは、AIのライブラリこそオープンソースを活用しているが、システム開発は、すべて当社グループ内で行うオーダーメイドとなっており、お客様の細かな要求にも答えることができました。また、システム開発のみならず、モデルの教育に有益な画像のクレンジング(選別)や、精度の高いモデルの作成まですべてセットで対応する事で、出来合いサービスでは困難なお客様要求へのフィッティングが可能でした。
さらに、本開発は、当社重要提携先である、西安裕日軟件有限公司(中国西安市 以下、西安裕日)を中心に行いました。西安裕日は、東建コーポレーション様システムを多く手掛けており(後述)、そこも安心感に繋がりました。
加えて、当社は事前にご検討頂く段階で2パターンの実現方法を提示。正式検討の時点ではすでに精度検証が行えており、既に高い正解率を出せていた事で、安心してご選定頂く事ができました。
解決策と効果
AIで実現したのは、「内観写真の自動分類(名前付け)」
これまで画像登録後、手作業で「バス」「キッチン」「トイレ」など分類していたものをAIが画像の中身を認識し自動で分類(名前付け)するシステムを開発・導入いたしました。
導入システムイメージ
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画像解析系のAIにはその教育用の素材が不可欠ですが、今回の課題では、教育の素材となる写真は、累計で3600万枚に登り、十分な量がありました。ただその写真は、様々な方向、位置、構図があり、例えば「玄関」の写真ひとつとっても、外からの写真、部屋の中からの写真、ドアだけのアップ、廊下の先にある玄関、靴箱がメインの写真など、様々でした。
また、分類には、部屋とリビングの様に人間でも写真だけでは判別が難しい分類も含まれていました。こうした状況に対して、私達は膨大にある画像から、ノイズ画像の除去と、その分類の特徴を正しく表している画像数万枚を選別し教育(ディープラーニング)を実施、微調整、再教育を繰り返し、精度向上を行いました。
結果、その認識率は、部屋とリビングなど人間でも難しい判定を含めて、平均で約96%、種別によっては、ほぼ100%の分類精度を出すことに成功しています。さらに判定率の低いもの、間違えたものは記録を残し、次回教育時に活かす仕組みになっています。
上記システムを利用することで全社概算で毎日13時間程度の時間短縮に繋がったということです。
「現場からは、負担が減ったと大変喜ばれています。1枚の分類は大した時間ではないものの、1日の累積ではかなりの枚数と時間になります。ましてや慌ただしい外出中の負担削減の為、効果も大きいです。」(細江氏)
今後の展望
AIの活用を様々な分野へ
アパート建築、賃貸仲介の分野で全国展開を行う同社は、大量のデータを扱う業務が幾つもあります。
「当社のビジネスでは同様に大量の画像やデータを扱う業務が多く、他にも課題やニーズがある。今回の実績をもとに次の課題の実現を行っていきたい。」(細江氏)
今後は、画像解析のみならず、予測分析、歩留まり検出等の分野でも可能性は大いにあると考え、顧客の業務効率化実現を提案・サポートして参ります。
お客様情報
東建コーポレーション株式会社様
所在地::愛知県名古屋市中区 webURL:https://www.token.co.jp/
事業内容: 土地活用のパイオニアとして、建築商品の新商品開発事業、リース建築事業、入居仲介事業・賃貸管理事業、高級賃貸マンション事業、 |