中平コラムSeries21:AI開発・利用時の契約チェックリストについて解説するよって話

経済産業省が発表した、AI導入・開発に関するチェックリストについて解説!

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  • こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。

    2025年2月18日、経済産業省が「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」を発表しました。

    これは、AIの導入が加速する中で、契約トラブルを未然に防ぐための指針として注目されています。

     

    この記事では、このチェックリストの重要ポイントを わかりやすく解説し、どのように契約を結べばリスクを回避できるのかを紹介します。

    細かいけれども、見ていきましょう!

     

     

    🔍 なぜAI契約のチェックリストが必要なのか?

    AIは便利な一方で、契約内容を曖昧にすると思わぬトラブル につながります。

     

    例えば…

    • 提供したデータが勝手に他社のAIに使われていた!
    • AIが作った成果物を自由に使えない!
    • 間違ったAIの出力に対する責任が曖昧!

     

    こうしたトラブルを防ぐために、契約の際にチェックすべき項目が整理されています。

     

     

    ✅ AI契約でチェックすべき6つのポイント

    1. AIに与えるデータ(インプット)の取り扱い

    どんな問題がある?


    企業がAIにデータを学習させる場合、データの取り扱いルールを決めておかなければ、以下のような問題が発生する可能性があります。

     

    • 競合にデータを流用される
    • 知らない間にベンダーが別の目的でデータを使っている

     

    (例)

    自社の営業データをAIに学習させたら、

    AIを開発した会社がそのデータを使って 他社のAIにも同じ学習をさせていた...

     

    このようなトラブルを防ぐには、契約でルールを決めておかなければなりません。

     

    ✅契約で決めるべきこと
    • データの所有権は誰にあるか?(提供した側? それともベンダー?)
    • AIに学習させるデータの用途を明確にする(目的外利用を禁止できるか)
    • 第三者にデータを渡してもいいのか? その条件は?
    • AIの学習が終わったら、データは削除されるのか?

     

    学習データは企業の資産として意外な価値があるんですよね。もしかしたらあなたの企業にも価値あるデータが眠っているかも。。

     


    2. AIが作る成果物(アウトプット)の権利

    どんな問題がある?


    AIが生成した文章や画像、プログラムなどを使う際、以下のようなこと明確にしないと、後々 「使えない!」 となる可能性があります。

     

    • 企業が自由に使えるのか?
    • AIを開発したベンダーに著作権があるのか?
    • AIが作った成果を商用利用できるのか?

     

    (例)

    AIにプレスリリースを作らせたが、

    「これはAIが作ったものなので著作権はベンダーにあります」と言われて、結局自由に使えなかった...

     

    この例は極端ですが、後々トラブルになるパターンです。

     

    契約で決めるべきこと
    • AIが作った成果物の権利は誰のものか?
    • 商用利用(売ったりサービスに組み込むこと)はOKか?
    • ベンダーが同じAIを使って他社にも同じような成果物を作れるのか?
    • 成果物に誤りがあった場合、誰が責任を負うのか?

     


    3. セキュリティ対策

    どんな問題がある?


    AIを使ったシステムはセキュリティ面において以下のようなリスクが考えられます。

     

    • 外部からの攻撃を受けてデータを盗まれる
    • AIが学習したデータが流出する
    • 利用者の個人情報が勝手にAIの記憶に残る

     

    (例)

    AIに社員のチャットデータを学習させたら、

    社内の機密情報までAIが記憶してしまい、それを外部ユーザーが問い合わせることで漏洩してしまった...

     

    こわっ、想像しただけで恐ろしいですね。仕組みでカバーしないといけないです。

     

    契約で決めるべきこと
    • データは暗号化されるか?
    • どのくらいの期間データを保持するのか?
    • セキュリティ基準はどうなっているか?
    • 情報漏洩が起きた場合、どのように対応するのか?

     


    4. AIの「誤り」に対する責任

    どんな問題がある?


    AIは 100%正しい回答をするわけではありません。AIの「誤り」において以下のようなリスクが考えられます。

     

    • 間違った情報を出す
    • 偏ったデータから不適切な判断をする
    • 差別的な発言や意図しない言葉を生成する

     

    (例)

    AIに文章を生成させたら、犯罪を助長するような文章が含まれていた...

    → 企業がこの文章をそのまま使用してしまうと訴訟リスクがあるため、責任の所在を明確にする必要があります。

     

    契約で決めるべきこと
    • AIの誤りに関する責任は誰が負うのか?
    • 不適切な発言や差別表現が出た場合、どのように対応するか?
    • AIの動作を監視・修正する手段を用意するか?

     

    100%正しいと保証されているものなんて何もないけれど、AIの開発提供側が出力に関する責任を負うことはできないです。

    企業側がリスクを持つので、導入に慎重になる可能性があります。

     


    5. 運用・サポートのルール

    どんな問題がある?


    AI導入時、以下のようなことを確認しておかなければ、後々困ることがあります。

     

    • 定期的なアップデートはあるのか?
    • バグが出たらどれくらいの期間で修正してくれるのか?
    • AIが学習するデータを定期的に更新する必要があるのか?

     

    (例)

    AIチャットボットを導入したが 、バグが発生。契約では「バグ修正に1か月以上かかる」 という条件になっていたのを認識しておらず、使い物にならないまま放置されてしまっている...

     

    契約で決めるべきこと
    • AIのアップデートはどのくらいの頻度で行われるか?
    • バグやエラーが発生した場合、どれくらいの期間で対応してもらえるのか?
    • 運用コストはどのように変化するのか?
    • サポートが必要な場合、どのレベルまで対応してもらえるのか?

     


    6. AIの将来的な継続利用

    どんな問題がある?

     

    AIの将来的な継続利用においては以下のようなことを確認しておく必要があります。

     

    • ベンダーがAIのサービスを終了したらどうなるのか?
    • 料金プランの変更によってコストが大幅に上がったらどうするのか?
    • 自社でAIの運用を引き継ぐことができるのか?

     

    (例)

    クラウドAIを使っていたら突然、サービスが終了。今までのデータがすべて使えなくなってしまった...

     

    お客様は長期利用を前提に契約を結ぶことが多いから、急に終了されても困ります。

    でも、提供側としては事業環境の変化(コスト増加、トレンドの変化)に対応する余地を確保しておきたいです。

     

    契約で決めるべきこと
    • サービス終了時にデータをどうするのか?
    • 料金変更の条件を事前に決めておく
    • 自社で運用を継続できるようにするか?

     

     

     

    🎯 まとめ

    AIを導入・開発する際に 必ず契約で確認すべきポイント を整理すると、以下のようになります。

     

    ✅ チェックポイント

    ❗️ 重要なポイント

    データの取り扱い

    AIが学習するデータの使用範囲、所有権

    成果物の権利

    AIが作ったデータの著作権、商用利用

    セキュリティ

    情報漏洩防止、データの管理方法

    誤りの責任

    AIが間違った時、誰が責任を持つか

    サポート体制

    AIのメンテナンス・バグ修正対応

    継続利用

    サービス終了時の対策、費用の透明性

     

    AIを導入するときは、契約においてこれらを明確にすることで、後々のトラブルを防ぐことができます。
    これからAIの導入を考えている方は、経済産業省のチェックリストを活用して、安全でスムーズな契約 を進めてください!

     

    🔗 参考リンク

    経済産業省公式発表:

    AIの利用・開発に関する契約チェックリスト:経済産業省

     

     

     

     

    著者情報


    IMG_4003

     

    中平 裕貴(Yuki Nakahira)

    株式会社エスワイシステム 関東事業本部

    関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理

     

    『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』

     

    エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。

    エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。

    🛠 技術領域

    アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、

    📈 事業・営業経験

    SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル

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