
こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。
2025年2月7日に開催された「IT業界の未来:開発エンジニアの時代は終わり、プリセールスエンジニアの時代が来た」
というセミナーでは、DXの進展やクラウドシフトの加速により、ITエンジニアの役割が大きく変わりつつあることが語られました。
特に印象的だったのは、
「これからのIT業界では、技術を理解しているだけでは不十分であり、それをビジネスに落とし込み、価値を説明できる人材が求められる」
という点です。
そして、この役割を担うのがプリセールスエンジニアです。
私自身、技術者として長年業界に関わる中で、単に「システムを作る」だけでなく「どうすればお客様の課題を解決できるか?」
という視点の重要性を感じてきました。
今回は、プリセールスエンジニアとは何か、そしてなぜ今この職種が注目されているのかを解説していきます。
プリセールスエンジニアとは?
プリセールスエンジニア(Pre-Sales Engineer)は、営業と技術の橋渡しをする役割を担います。
顧客の課題を技術的に解決するための提案を行い、営業と連携して受注につなげるポジションです。
従来のエンジニアとの違いは、開発業務だけでなく、提案力・プレゼンテーション能力・ビジネス視点が求められる点にあります。
つまり、「技術がわかる営業者」または「営業ができる技術者」といった存在です。
何を売るのか?
プリセールスエンジニアが取り扱うのは、単なる製品ではなく「ソリューション」です。
例えば、以下のようなものがあります。
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クラウドサービス(AWS、Azure、Google Cloud)
- オンプレミスからクラウドへの移行提案
- マイクロサービス・コンテナ化の導入支援
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SaaS製品(Salesforce、ServiceNowなど)
- 企業の業務効率化を目的としたCRM・ERP・MDMの提案
- 業務プロセスに対してどのようにフィットするかの説明
-
データ分析・BIツール(Tableau、Power BI、Snowflake)
- 企業のデータ活用戦略に基づく提案
- ROIを最大化するデータ統合・分析基盤の構築
-
セキュリティ・インフラソリューション
- ゼロトラストネットワークの構築
- クラウドセキュリティの最適化
これらのソリューションを「技術的にどう動くか」ではなく、
「導入することによってどのような価値が生まれるのか」
という視点で提案するのが、プリセールスエンジニアの役割です。
なぜ今、プリセールスエンジニアが求められているのか?
IT業界では、次の3つの理由からプリセールスエンジニアの需要が急増しています。
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DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
- 企業は単なるシステム導入ではなく「業務変革」を目的としたIT投資を行っている。
→「どの技術をどう活かせばビジネスが変わるのか?」を説明できる人材(プリセールスエンジニア)が必要に。
- 企業は単なるシステム導入ではなく「業務変革」を目的としたIT投資を行っている。
-
クラウドシフトの加速
- クラウド化により「パッケージソフトを買う」のではなく、「最適なクラウド環境を設計する」必要性が高まった。
→ 技術とビジネスの両方を理解したプリセールスエンジニアが求められる。
- クラウド化により「パッケージソフトを買う」のではなく、「最適なクラウド環境を設計する」必要性が高まった。
-
営業と技術のミスマッチ解消
- これまでは、営業担当が技術的な知識を持たずに提案し、顧客のニーズと乖離したソリューションが売られることがあった。
→ このような問題を解決するために、技術とビジネスの両方を理解したプリセールスエンジニアが不可欠に。
- これまでは、営業担当が技術的な知識を持たずに提案し、顧客のニーズと乖離したソリューションが売られることがあった。
プリセールスエンジニアに求められるスキル
プリセールスエンジニアには、次の3つのスキルが求められます。
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技術力
- クラウド、データ分析、セキュリティなどの専門知識
- プロダクトの仕組みを理解し、最適なアーキテクチャを考える力
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コミュニケーション能力
- 顧客の課題を正しく理解し、それを技術に落とし込む力
- 営業チームやエンジニアチームと連携し、最適な提案を作る能力
-
ビジネスの視点
- 製品の価値を技術ではなく「ビジネス的なメリット」として伝えられるか
- 「導入コスト vs 効果」のバランスを考え、ROIを示せるか
プリセールスエンジニアはエンジニアの新たなキャリアの選択肢
開発エンジニアとして凄まじい力を持つ人に出会ったりすると、「うーん、自分はあそこまでにはなれないなぁ」ってめげることがあります。
でも、営業はもっと向いていないし、なんとなく苦手。。
そうした人にとって、プリセールスエンジニアは技術を活かしながらビジネスに貢献できる魅力的なキャリアパスになり得ます。
特に、以下のようなエンジニアにはプリセールスエンジニアが向いています。
- 「技術の話を人にわかりやすく説明するのが好き」
- 「新しい技術のトレンドを追うのが好き」
- 「プロジェクトの上流工程や要件定義に興味がある」
- 「開発よりも、システムをどう活用するか考えるのが楽しい」
まとめ
プリセールスエンジニアは、「技術」×「営業」というスキルセットを持つハイブリッドな職種であり、IT業界でますます重要な役割を担うようになっています。
特に、DXやクラウドシフトの進展により、単なる「モノ売り」ではなく「ビジネス変革を提案できる人材」が求められています。
技術者としての知識を持ちながら、ビジネス視点を磨くことで、エンジニアとしてのキャリアの可能性は大きく広がります。
「技術ができる営業」ではなく、「技術でビジネスを変える」存在として、プリセールスエンジニアという道を考えてみてはいかがでしょうか?
著者情報
中平 裕貴(Yuki Nakahira)
株式会社エスワイシステム 関東事業本部
関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理
『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』
エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。
エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。
🛠 技術領域
アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、
📈 事業・営業経験
SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル
🏗 組織マネジメント
リーダー育成、組織改革、チームビルディング
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