中平コラムSeries28:モウリーニョとグアルディオラの哲学から学ぶリーダーシップとビジネス戦略の話

勝利至上主義のモウリーニョ型とシステムで支配するグアルディオラ型。ビジネスに応用への考え方を探る。

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  • こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。

     

    最近、MS C&S課 のOさんがサッカーとビジネスの共通点について熱く語っていた。

    私自身はそこまでサッカーに詳しくないのだけれど、その話を聞きながら

     

    「サッカーの戦術や監督の哲学は、ビジネスの立ち振る舞いにも活かせるのでは?」と感じた。


    そこで、モウリーニョとグアルディオラ、それぞれの哲学を学ぶために本を読んでみた。

     

    (参考)

    • 「モウリーニョの哲学」, フアン・カルロス・クベイロ(著), レオノール・ガジャルド(著), 野田 恵子(訳), SBクリエイティブ, 2013
    • 「ペップ・シティスーパーチームの設計図」, ル・マルティン (著), ポル・バジュス (著), 山中忍 (訳),  sol media, 2020

     

    結果として、この二人の監督のスタイルには、リーダーシップや意思決定において学ぶべきポイントが多くあった。


    今回は、彼らの考え方をビジネスに応用できる視点で整理してみたい。

     

     

    モウリーニョとグアルディオラの哲学の違い

    この二人は、現代サッカーにおいて対照的なスタイルを持つ監督だ。


    簡単にまとめると、以下のような違いがある。

     

    監督 戦術スタイル 価値観 マネジメント手法
    モウリーニョ 守備的カウンター

    勝利至上主義(結果重視)

    チームを鼓舞し、結束を強める
    グアルディオラ ポゼッション支配

    プロセス重視(美しいサッカー)

    システムを作り込み、規律を徹底する

     

    彼らのスタイルは、単なるサッカー戦術に留まらず、リーダーとしての哲学そのものに直結している。

     

     

    モウリーニョの哲学:「勝つためなら何でもする」

    ① 結果にこだわるリーダーシップ

    モウリーニョは、常に「どうすれば勝てるか?」を最優先に考える監督だ。

    攻撃的なサッカーにこだわるのではなく、チームの戦力や状況に応じて、最も勝てる戦い方を選択する。

     

    例えば、彼の代表的な戦術の一つに「カウンター戦術」がある。

    相手にボールを持たせつつ、守備を固め、隙を見て素早く攻めることで得点を狙う。


    これは、リソースを最大限に活用し、勝利を引き寄せる合理的な思考とも言える。

     

    ② 組織マネジメント:「敵」を作り、結束を強める

    モウリーニョのもう一つの特徴は、チームの結束を高めるために「外部の敵」を作ることだ。

     

    例えば、メディアや対戦相手を挑発し、「俺たちは周りに嫌われている、だからこそ団結しなければならない」という心理状態を作り出す。

     

    これはビジネスでも使える考え方で、
    「自社の存在意義を明確にし、チームを1つの目的に向かわせる」というリーダーシップの1つの形だ。

     

    例えば、競争が激しい市場では、「我々は業界に革新をもたらす挑戦者だ」というストーリーを作り、チームのモチベーションを高めることができる。

     

     

    グアルディオラの哲学:「支配し、コントロールする」

    ① ルールと規律を徹底する

    グアルディオラは、ポゼッションを重視し、試合を「支配」するサッカーを目指す。

    そのために、選手には細かいポジショニングのルールやプレーの判断基準が求められる。


    彼のチームでは、選手が自由に動くのではなく、戦術の中で最適な位置を取ることが求められる。

     

    これは、ビジネスにおける組織運営や業務プロセスの最適化に通じる考え方だ。
    「個々の能力に頼るのではなく、仕組みを作り、ルールを徹底することで成果を出す」という発想である。

     

    ② イノベーションと適応力

    グアルディオラは、どのチームを指揮しても新しい戦術を試し、進化を続ける監督だ。


    バルセロナでは「ティキ・タカ(細かいパスをつないで相手を崩す)」を極め、

    マンチェスター・シティではポジションレスな柔軟な戦術を採用している。

     

    これは、常に環境の変化を捉え、適応する力が重要であることを示している。


    ビジネスでも、成功した戦略をそのまま維持するのではなく、市場の変化に応じて戦略を更新し続けることが求められる。

     

     

    モウリーニョ型とグアルディオラ型、どちらの戦略が有効か?

    結論として、どちらが正しいということはなく、状況に応じて使い分けるのが最も合理的だと感じた。

     

    (例)
    • 短期的な目標を達成したいときモウリーニョ型
      • 目的を明確にし、最も合理的な手段を選ぶ
      • チームの士気を高め、結束させる

     

    • 長期的に組織を成長させたいときグアルディオラ型
      • システムとルールを構築し、「再現性のある成功」を目指す
      • 環境の変化に対して柔軟に適応し、進化し続ける

     

    ビジネスにおいても、


    「スタートアップが市場に急成長するにはモウリーニョ型の合理性が必要」
    「大企業が持続的な成長を遂げるにはグアルディオラ型の組織設計が重要」


    といった具合に、それぞれの考え方を応用できる場面は多い。

     

     

    まとめ

    今回、モウリーニョとグアルディオラについての書籍を読み、サッカーの戦術がビジネスの戦略やリーダーシップにも応用できると感じた。

     

    • モウリーニョ型の戦略
      • 結果を重視し、勝つための最適解を追求する
      • 外部との対立を利用して、チームの結束を強める

     

    • グアルディオラ型の戦略
      • システムとルールを作り、長期的な成功を目指す
      • 環境に応じて進化し続ける柔軟性を持つ

     

    どちらの戦略を採用するかは、状況次第。

    大切なのは、どの場面でどの戦略を使うべきかを見極めて適応する力だと感じた。

     

    そして、それ以上に重要なのは、自分自身の持ち味や性格をよく考え、しっくりくる戦略と戦術を作り上げていくことだ。

     

    私自身も、ポゼッション支配をとても大事にしてふるまっているし、かつ結果重視型であるが、彼らとは性格的に大きく違うように感じた。

     

    すべての人がモウリーニョのように「カリスマ的なリーダー」になれるわけでも、グアルディオラのように「細部までこだわる指導者」になれるわけでもない。


    だからこそ、自分自身の強みを活かしながら、最適なスタイルを見つけていくことが大切なのだと思う。

     

    これからの自分の立ち振る舞いにも、この学びを活かしていきたい。

     

     

     

     

    著者情報


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    中平 裕貴(Yuki Nakahira)

    株式会社エスワイシステム 関東事業本部

    関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理

     

    『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』

     

    エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。

    エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。

    🛠 技術領域

    アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、

    📈 事業・営業経験

    SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル

    🏗 組織マネジメント

    リーダー育成、組織改革、チームビルディング

     

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