中平コラムSeries6:データ分析で行動を最適化する
iPhoneのヘルスケアデータをPythonで分析!歩数の推移や曜日ごとの違い、距離との相関を可視化し、データ活用の本質を探る。ビジネスにも応用できるデータ分析の考え方とは?

こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。
データ分析の重要性がますます高まる現代、私たちはあらゆる場面でデータを活用することが求められています。
なぜデータ分析が重要なのか?
ビジネスの現場では、感覚や経験に頼るのではなく データに基づいた意思決定 が求められるようになっています。
マーケティングでは 顧客の行動データ を分析し、経営では 売上データ から最適な戦略を立てる。
では、日常生活における習慣やライフスタイルの改善にもデータ分析は活用できるのか?
「運動量を増やしたい」「健康的な生活を送りたい」と思っていても、実際にどれくらい歩いているのか を感覚だけで判断するのは難しいものです。
しかし、iPhoneのヘルスケアデータ を分析すれば、「自分はどんな時期に、どれくらい運動しているのか?」を客観的に可視化できます。
✅ つまり、ビジネスのデータ分析と同じように、自分の行動をデータで可視化すれば、より正確な意思決定ができる。
今回は、 実際に自分の1年間の歩数データを分析した結果をシェア します。このプロセスを通じて、データ活用の考え方が、健康管理だけでなく、ビジネスの意思決定にも応用できることを感じてもらえればと思います。
📊 データの準備 – iPhoneヘルスケアデータをエクスポート
1. iPhoneのヘルスケアアプリからデータを取得
iPhoneの「ヘルスケア」アプリには、日々の歩数や心拍数、睡眠データなどが蓄積されています。
このデータは 「エクスポート」機能を使うことで、XMLファイルとして取り出すことが可能 です。
📌 エクスポート手順:
- iPhoneの「ヘルスケア」アプリを開く
- 右上のプロフィールアイコンをタップ
- 「すべてのヘルスケアデータを書き出す」 を選択
- エクスポートされた
export.xml
をPCに転送
2. Pythonでデータを解析
ヘルスケアデータは XML形式 なので、そのままでは分析しづらい。
そこで、Pythonを使ってデータを解析し、日ごとの歩数を集計 しました。
📌 使用した主なライブラリ
pandas
(データ処理)matplotlib
(データ可視化)xml.etree.ElementTree
(XML解析)
📌 データの加工
- 歩数 (
StepCount
) を抽出 - 日ごとに集計して、歩数推移を可視化
- 曜日ごとの平均歩数を算出
- 歩数と距離の相関を調査
📊 1年間の歩数の推移を可視化
最初に、2023年11月から2025年1月までの歩数推移を可視化 しました。
月当たりの平均歩数
📌 分析結果
- 2024年6月から急激に歩数が増加
- 5月(7,700歩)→ 6月(13,191歩)で 約1.7倍に増加
- 10月には 月平均19,769歩まで増加
- 2023年末は比較的安定(9,000~10,000歩)
- 4〜5月が最も少ない(約7,700歩)
💡 考察
- 中平がエスワイシステムに着任後急激に歩数が増加
-
特に意識して運動はしていないので純粋な活動量の変化である
📊 曜日ごとの平均歩数を分析
次に、「曜日ごとに歩数の違いがあるのか?」を調べてみました。
曜日ごとの平均歩数
分析結果
曜日 |
平均歩数 |
---|---|
木曜日 |
14,672歩(最大) |
水曜日 |
13,568歩 |
土曜日 |
13,748歩 |
日曜日 |
13,227歩 |
金曜日 |
11,961歩(最小) |
💡 考察
- 木曜日に歩数が多い理由は?
- 週頭は内部作業が多く、木曜日に外出設定しがち
- 金曜日は歩数が少ない理由は?
- 金曜日はオフィスにこもりがち
✅ 「歩く習慣」は曜日ごとに偏りがある
→ 習慣を見直せるヒントになる!
📊 「歩数に対する移動距離」を分析
「歩数が多いと、実際に移動する距離も長くなるのか?」を調べました。
歩数と移動距離の関係
📌 分析結果
- 歩数と距離の相関係数は 0.997(ほぼ完璧に相関)
- 歩数が多い日は、ほぼ比例して移動距離も長くなる
- 1日20,000歩を超えると、20km近く移動している日もある
💡 考察
- 「歩数だけではなく、移動距離や運動の質も考慮するべき」
- 「同じ歩数でも、歩幅や移動速度によって運動量は異なる」
✅ ビジネスにおける「売上だけでなく、客単価やリピート率も分析する」と同じ発想!
📊データ分析は「目的」を持って行うことで価値が生まれる
今回の分析を通じて、以下のことが分かりました。
✅ データを可視化することで、行動の変化が明確になる
✅ 曜日や季節によって、運動習慣に違いがあることが分かる
✅ データ分析を活用すれば、生活の最適化につながる
しかし、ただデータを集めるだけでは、意味のある気づきにはなりません。
ビジネスでも、「まずはデータ分析基盤を作りましょう」といわれ、データを集めたは良いものの、どう活用すればいいのかわからなくなるケースは多いです。
📌 データ分析に必要なのは「目的」
「なぜこのデータを分析するのか?」という目的を明確にすることが重要 です。
例えば今回の歩数分析では、以下のような明確な疑問を持って分析することによって意味のある結果が得られました。
- 「最近、歩く量が増えた気がするけど、本当に増えているのか?」
- 「自分の運動習慣にはどんな傾向があるのか?」
- 「特定の曜日や季節に影響を受けているのか?」
ビジネスにおいても、
- 売上の推移を分析するなら、「どの施策が影響したのか?」
- 顧客データを分析するなら、「どの層にアプローチすべきか?」
- サイトのアクセスデータを分析するなら、「離脱率が高いページはどこか?」
こうした 「何を知りたいのか?」を意識することで、データの価値が最大化されます。
📌 目的がなくても、分析することで新たな発見があることも
今回の歩数分析では、「木曜日の歩数がなぜか多い」という想定外の結果が出ました。
このように、最初は気づいていなかった 「隠れたパターン」 を見つけることができるという点もデータ分析の醍醐味です。
まとめ
✅ 最初に明確な目的を持って分析することが重要!
✅ データを掘り下げていくことで新たな発見の可能性も!
データ分析の価値はビジネスでも、個人の習慣改善でも活用できるのです。
📌 最後に
データ分析は、単なる数値の集計ではなく、行動の最適化につながる強力なツールです。
しかし、分析を通じて導き出される「最適解」は、あくまで今あるデータの範囲内でのベストな選択肢 でしかありません。
本当に大切なのは、データの先にある 「自分はどうなりたいのか?」「未来をどう変えていきたいのか?」という意思です。
データを可視化することで、現状を客観的に理解し、次の一歩を考えるヒントを得ることはできます。
しかし、本質的な変化は「データが示す答え」ではなく、「自分・自分たちがどこに向かいたいのか」という意思決定から生まれるのです。
ビジネスでも健康管理でも、データを活用することでより良い選択はできますが、最も大事なのは 「どんな未来をつくりたいのか?」を明確に持つこと。データはその未来に近づくための道標にすぎません。
可視化して満足するのではなく、「その先の未来をどうしたいのか?」を問い続けることが、データ分析を本当に価値あるものにするのです。
著者情報
中平 裕貴(Yuki Nakahira)
株式会社エスワイシステム 関東事業本部
関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理
『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』
エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。
エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。
🛠 技術領域
アプリ開発、クラウド、データ分析、AI
📈 事業・営業経験
SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル
🏗 組織マネジメント
リーダー育成、組織改革、チームビルディング
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