中平コラムSeries117:クラウドが溶けた日 〜突然、全部なくなったって話〜

「ある日、突然お客さんのシステムが消えた。」当たり前の怖さと、ITインフラの儚さを学んだ体験談。

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  • こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。

     

     

    今日は「クラウド消えたわ事件」について話そうと思うんですが──まず言わせてください。

     

    ほんま、消えると思わんやん!?

     

    いや、正確に言うとね、「クラウド」なんて言葉、当時はあんまり使ってなかったんですよ。

     

    僕らの中では「レンタルサーバー」とか「VPS(仮想専用サーバー)」とか言ってました。

    今でいう “クラウドっぽい” サービスの走り、みたいな存在です。

     

    で、僕はその “未来感” に魅せられて、お客さんのシステムをそのサーバーに載せたわけです。

    「これからは物理サーバーじゃない時代ですよ!」とか、めちゃくちゃ偉そうに言いながら。

     

    ──まさか、そのサーバーごと全部溶けるとは思ってなかったけどな!!

     

     

    あれは、忘れもしない2012年──

    当時の僕は、経験も少なく社会の荒波を知らないエンジニアでした。

     

    「冗長構成?まあそこは、ファーストサーバーさんの堅牢性に任せときゃええやろ」って思ってた。

     

    …そしたら、その堅牢性ごと、ぜんぶまっさらになった。

     

     

    ほんとに全部、無くなった

    ニュースの見出しは、今でも忘れられません。

     

    「ファーストサーバー、データ消失。復旧困難」

    「サーバー内データ、削除される。対象は数千社」

     

    いやいやいや待て待てと。

     

    「削除」「消失」

     

    「トラブル」とか「一部障害」とかじゃなくて、“まるごと蒸発”

     

    もうその日は、何食べたかも覚えてない。

    というか、胃に物が入らなかった。

     

     

    その日から、謝罪botになりました

    お客様に報告しないといけない。

    でも何をどう言えばいいかわからない。

     

    「すみません…サーバーが…その…あの…」

    「消えました(震)」

     

    中平さんなら安心ですね!と言ってくれてた担当者さんの顔が、脳内でバグるくらいループしてた。

     

    そして、僕はただの謝罪botになった。

     

     

    なぜ、そんなことになったのか?

    今ではある程度技術的な背景も理解できてます。

     

    • 誤ってクリティカルなスクリプトを実行
    • バックアップ領域までまるごと削除
    • 復旧手段なし

     

    みたいな超絶コンボが決まったらしい。

     

    でも、当時の僕にとってはそんなのどうでもよかった。

    だって、お客さんのデータが戻らないことに変わりはないんだから。

     

     

    “当たり前” は、ある日突然消える

    「サービスがあるのが当たり前」

    「データは残ってるのが当たり前」

    「止まったとしても、すぐ直るでしょ」

     

    ──そう思ってた自分を、ぶん殴ってやりたい。

     

    この事件以来、僕の中で “信頼” という言葉の重みが変わりました。

    “壊れることを前提に備える” という姿勢が根付きました。

     

     

    でも、あの事件が教えてくれたこと

    あの事件が教えてくれたこと。それは、

     

    「当たり前を疑うこと」

    リスクはゼロにならないということ」

    バックアップは命より大事ってこと」


     

    この経験以降、僕は

     

    • クラウドも万能じゃない
    • バックアップ設計を怠らない
    • 信頼” を簡単に預かってはいけな

     

    という教訓を胸に刻みました。

     

     

    でもね、今となっては──

    あの事件があったからこそ、僕は「システムが止まるという現実」と、「信頼を預かるという重さ」に向き合えるようになったんです。

     

    人生って、不意にテストしてくるじゃないですか?

    それがたまたま、“お客様の大事なデータが消える”っていう超ハードモードの出題だっただけで。

     

     

    最後に

    あのとき僕が学んだことは、

    「信頼って、“消えるかもしれない” を前提に守らなきゃいけない」ってこと。

     

    ファーストサーバーの件は、IT史に残る事故です。

    でも、そこから学べることはまだまだ多い。

     

    未来の自分へ──

    今動いてるサービスも、明日は動かないかもしれんぞ!

     

     

     

     

     

    著者情報


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    中平 裕貴(Yuki Nakahira)

    株式会社エスワイシステム 関東事業本部

    関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理

     

    『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』

     

    エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。

    エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。

    技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WANT TO」で動ける社会を目指す。

     

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