
こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。
今日は「クラウド消えたわ事件」について話そうと思うんですが──まず言わせてください。
ほんま、消えると思わんやん!?
いや、正確に言うとね、「クラウド」なんて言葉、当時はあんまり使ってなかったんですよ。
僕らの中では「レンタルサーバー」とか「VPS(仮想専用サーバー)」とか言ってました。
今でいう “クラウドっぽい” サービスの走り、みたいな存在です。
で、僕はその “未来感” に魅せられて、お客さんのシステムをそのサーバーに載せたわけです。
「これからは物理サーバーじゃない時代ですよ!」とか、めちゃくちゃ偉そうに言いながら。
──まさか、そのサーバーごと全部溶けるとは思ってなかったけどな!!
あれは、忘れもしない2012年──
当時の僕は、経験も少なく社会の荒波を知らないエンジニアでした。
「冗長構成?まあそこは、ファーストサーバーさんの堅牢性に任せときゃええやろ」って思ってた。
…そしたら、その堅牢性ごと、ぜんぶまっさらになった。
ほんとに全部、無くなった
ニュースの見出しは、今でも忘れられません。
「ファーストサーバー、データ消失。復旧困難」
「サーバー内データ、削除される。対象は数千社」
いやいやいや待て待てと。
「削除」「消失」
「トラブル」とか「一部障害」とかじゃなくて、“まるごと蒸発”。
もうその日は、何食べたかも覚えてない。
というか、胃に物が入らなかった。
その日から、謝罪botになりました
お客様に報告しないといけない。
でも何をどう言えばいいかわからない。
「すみません…サーバーが…その…あの…」
「消えました(震)」
中平さんなら安心ですね!と言ってくれてた担当者さんの顔が、脳内でバグるくらいループしてた。
そして、僕はただの謝罪botになった。
なぜ、そんなことになったのか?
今ではある程度技術的な背景も理解できてます。
- 誤ってクリティカルなスクリプトを実行
- バックアップ領域までまるごと削除
- 復旧手段なし
みたいな超絶コンボが決まったらしい。
でも、当時の僕にとってはそんなのどうでもよかった。
だって、お客さんのデータが戻らないことに変わりはないんだから。
“当たり前” は、ある日突然消える
「サービスがあるのが当たり前」
「データは残ってるのが当たり前」
「止まったとしても、すぐ直るでしょ」
──そう思ってた自分を、ぶん殴ってやりたい。
この事件以来、僕の中で “信頼” という言葉の重みが変わりました。
“壊れることを前提に備える” という姿勢が根付きました。
でも、あの事件が教えてくれたこと
あの事件が教えてくれたこと。それは、
「当たり前を疑うこと」
「リスクはゼロにならないということ」
「バックアップは命より大事ってこと」
この経験以降、僕は
- クラウドも万能じゃない
- バックアップ設計を怠らない
- “信頼” を簡単に預かってはいけない
という教訓を胸に刻みました。
でもね、今となっては──
あの事件があったからこそ、僕は「システムが止まるという現実」と、「信頼を預かるという重さ」に向き合えるようになったんです。
人生って、不意にテストしてくるじゃないですか?
それがたまたま、“お客様の大事なデータが消える”っていう超ハードモードの出題だっただけで。
最後に
あのとき僕が学んだことは、
「信頼って、“消えるかもしれない” を前提に守らなきゃいけない」ってこと。
ファーストサーバーの件は、IT史に残る事故です。
でも、そこから学べることはまだまだ多い。
未来の自分へ──
今動いてるサービスも、明日は動かないかもしれんぞ!
著者情報
中平 裕貴(Yuki Nakahira)
株式会社エスワイシステム 関東事業本部
関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理
『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』
エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。
エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。
技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WANT TO」で動ける社会を目指す。
🛠 技術領域
アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、
📈 事業・営業経験
SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル
🏗 組織マネジメント
リーダー育成、組織改革、チームビルディング
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