中平コラムSeries120:PoCって、“PoCじゃない”んです ── 移行プロジェクトの現場よりって話
「PoC=お試し」と思っているあなたへ。脱出ゲームのような移行PoCのリアルを、ちょっと笑えて、ちょっと刺さるストーリー。

こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。
今日も元気に「PoCって何?」って聞かれました。
いやもう、PoCですよ、PoC。ぽっく。ぽっくぽくぽく、ちーん。
……あ、すみません。取り乱しました。
まず、聞いてほしい。
「まずはPoCで軽く試しましょう」
プロジェクトの会議でこのセリフが出た瞬間、僕の背筋は凍りました。
PoCって、軽い顔して「お試しです」とか言ってくるけど、実態はもう、“準本番”。
むしろPoCが通らなかったら、本番が来ない。
言うなれば、婚約者の実家訪問。失敗したら結婚白紙、みたいなやつです。
軽く試すどころじゃない現場
移行系PoCって、大体こうです。
・10年物のコードに手を突っ込む
・誰も知らない仕様に出くわす
・コメントが「??」だけの謎SQLが登場する
もはや謎解き。脱出ゲーム。しかも時間制限あり。
「この仕様、誰が作ったんですか?」
「たぶん、もういないです」
そんな会話が平然と飛び交います。
“やること”が曖昧なまま始まると、地獄が始まる
しかもPoCって、「とりあえずやってみましょう」って始まることが多い。
でも“とりあえず”のまま終わらせてくれないのがPoC。
「これも見たい」「こっちのパターンも検証できる?」
って増える、増える、増える。
気づけば、「本番よりも重い作業になってるやん…」という事態に。
じゃあどうする?
僕が最近やってるのは、こんなPoCのやり方です。
・「成功の定義」を最初に握る(例:レスポンス○秒以内/変換率95%以上)
・何を“やらないか”を明言する(←ここが大事)
・検証項目をレーダーチャートにして、みんなで塗り絵
あと、「これPoCって書いてあるけど、実質本番ですよね?」って
あえて口に出しておく。空気読みすぎると燃えます。
まとめ:PoCは、やさしくない。
PoCは、「仮の姿をした、本番の刺客」です。
油断したらやられます。
でも、ちゃんと設計すれば、組織の“移行筋力”を測るいい機会になります。
「PoCってなんですか?」と聞かれたら、僕はこう答えます。
「うん、それはね。予告編のくせに、本編より予算かかる映画だよ」
ご清聴ありがとうございました。
今日も安全なPoCライフを。
著者情報
中平 裕貴(Yuki Nakahira)
株式会社エスワイシステム 関東事業本部
関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理
『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』
エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。
エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。
技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WANT TO」で動ける社会を目指す。
🛠 技術領域
アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、
📈 事業・営業経験
SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル
🏗 組織マネジメント
リーダー育成、組織改革、チームビルディング
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