中平コラムSeries129:プロジェクトは、なぜ“静かに”沈むのか。元探偵PMが嗅ぎ取る「水漏れ」の匂いって話
爆発じゃなくて水漏れで沈む——。議事録やKPIに載らない“見えない課題”は、現場をじわじわ蝕む。

こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。
プロジェクトって、大きな爆発で失敗するわけじゃないんですよ。
むしろ「え?今、床濡れてない?」みたいな水漏れが、静かに進行して沈んでいく。
会議では全員が綺麗に合意してる。納期も間に合うはずだって言ってる。
でも僕の視線は、フロアの隅で黙々とキーボードを叩く若手に向かってしまう。
——その背中、何も問題ないって言ってないよね。
違和感の匂いを嗅ぎ取る職業病
僕は元探偵です。
違和感の匂いを嗅ぎつけるのは、もはや職業病。
(ってわけじゃないとおもうけど気になっちゃう)
浮気調査でも、決定的な瞬間は「匂い」や「わずかな表情の変化」から始まります。
現場でも同じで、違和感ってだいたい言語化する前に鼻が反応するんです。
この嗅覚、便利ですが時々孤独を生みます。
「中平さん、なんでそんな細かいとこ気にするんですか…」って言われたりね。
でも誰かが耳を澄まさないと、船は気づかないうちに沈みます。
机上の正しさ vs 現場のリアル
あと僕、元トラック運転手でもあります。
地図で最短に見える道が、実際は渋滞地獄ってこと、何度もありました。
机の上で「これが正解!」って決めたプランが、現場じゃ全然回らないことなんてザラです。
だからまずは現場に行く。空気を感じる。
「なんかやりにくいんすよね」って一言の方が、1枚の計画書より真実を語ることもあります。
地図アプリが教えてくれない真実って、現場には腐るほどあります。
不安より、価値のゴールを掘れ
課題が見えてきたら会議のテーブルに乗せます。
このとき僕は「不安はありますか?」とは聞きません。
代わりに、「このプロジェクトが終わった時、一番価値があったと思える状態って何ですか?」と聞くんです。
不安を掘ると泥しか出ません。価値のゴールを掘るから宝が出てくる。
…まあ、宝箱を開けたらただの石ころだった、なんてこともありますが。
頑張りは仕組みに翻訳する
出てきた解決策を「みんな頑張ろう!」で終わらせないのがポイント。
頑張りを仕組みに変えるんです。
迷子にならないアジェンダ、
意見が出やすい質問の型、
やりたいことを引き出すワーク…。
仕組みって、縛る鎖じゃなくて努力を無駄にしないための器。
器がないと、せっかくの頑張りは床に全部こぼれます。
しかもだいたい誰も拭きません。
まとめ:水漏れは放置しない
水漏れに気づく人は、たいてい「変わってる」と言われます。
でも、変わってるから沈没を防げる。
現場で「おかしいな」と感じたら、ぜひその感覚を無視しないでほしい。
明日、あなたができる一歩は何ですか?
床の水たまりを見つけたら、放置せずにバケツを置くことかもしれません。
…ただし、そのバケツが満タンになって溢れる前に、元を止めましょう。
そうしないと、あなたが次の“沈没船の船長”になってしまいます。
著者情報
中平 裕貴(Yuki Nakahira)
株式会社エスワイシステム 関東事業本部
関東第2事業部 3SEシステム5部 事業部長代理
『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』
エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。
エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。
技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WANT TO」で動ける社会を目指す。
🛠 技術領域
アプリ開発、クラウド、データ分析、AI、
📈 事業・営業経験
SI事業の拡大、プロジェクトマネジメント、アジャイル
🏗 組織マネジメント
リーダー育成、組織改革、チームビルディング
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