中平コラムSeries71:いい提案だったのに通らない理由が、文化の違いって話

「提案書、完璧に作ったのに…」そんなときに足りてないのは、スキルでも論理でもなく、"翻訳"の力。お客さんの“文化圏”に寄り添い、心に刺さる提案をするための思考法について語る。

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  • こんにちは、エスワイシステム関東の中平です。

     

     

    完璧な提案書を作った。

    コストも、納期も、機能も、お客さんの要望をがっちり満たしてる。

     

    「これは通るだろう」と思ってプレゼンした結果——

     

    「……うちにはちょっと合わないかもね」

     

    え、なんで!? ってなりますよね。

    しかも、だいたいその理由は説明されない。「感覚的に違う」みたいな空気で終わる。

     

    でも最近、ようやくわかってきたんです。

     

    あれはスキル不足じゃなく、 “文化”の違い だったんだと。

     

     

    技術的に正しくても、文化的に異物だと拒絶される

    たとえば、ファイル操作をずっと手動でやってる現場に「バッチ処理で一括化しましょう」と言うと、

    「ああ、それはありがたい」と言いつつ、表情が曇る。

     

    なぜか?

     

    バッチ処理は “ブラックボックス” に見えるから。

     

    「誰が何をしてるかわからないのは怖い」っていう、文化的な反射が起きるんです。

     

    つまり、技術的には正しくても、文化的には “うさんくさく”見える提案 は通らない。

     

     

    説明が悪い? いや、“翻訳”が足りないだけ

    この前なんて、「API連携すればCSVのやり取りいらなくなりますよ」って提案したら、

    「でもCSVって手元に残るし安心なんだよね…」って真顔で返されて撃沈。

     

    そのとき、頭の中で警報が鳴った。

     

    「これは“機能”じゃなくて、“文化”への挑戦 として受け取られてる!」と。

     

    なので作戦変更。

     

    「このAPI連携って、言うなれば “自動で毎朝届く専用便” みたいなもので、メール添付よりも手間も安全性も上なんです」

    と説明したら、すんなり通った。

     

    伝えるって、“訳すこと” なんですよね。

     

    技術用語を使わずに、相手の業務や日常の言葉に変換できるかどうか。

     

     

    提案とは “口説き” である

    営業って、恋愛に似てます。

     

    相手が「いい人だな」と思ってくれるかは、こちらのスペックじゃなくて、

    「自分の話を聞いてくれる」「わかってくれてる」と思えるかどうか。

     

    「御社のために最高のシステムを考えてきました!」って言われても、

    「いや、あなた私の生活知らないでしょ…」ってなったら警戒されます。

     

    だから、最初のヒアリングが命。

     

    現場で何が起きてるか、どんな苦労があるか、業務の一日を一緒に歩くくらいの気持ちで。

     

     

    伝わる提案のコツ:3つの翻訳レベル

    ・用語を訳す:専門用語→現場用語に変換

    例:「データ連携」→「手入力いらなくなる」

     

    ・結果を訳す

    例:「〇〇ができます」→「〇〇さんが30分早く帰れます」

     

    ・状況を訳す

    例:「技術的に安全です」→「夜でも担当者が安心して寝れます」

     

    この3段階を通せば、かなりの確率で通じるようになります。

     

    逆に、どれか1つでも雑だと、「ふーん」で終わる。

     

     

    提案に必要なのは“翻訳者”としての視点

    良い提案は、技術的に正しいだけじゃなく、“相手の文化圏” で語られているもの。

     

    だから、

    ・わかりやすい言葉を使う

    ・相手の業務の背景を理解する

    ・イメージしやすい比喩を使う

     

    この3つを意識すると、“響かない提案”が、“刺さる提案”に変わります。

     

    最後に。

    昔、あるお客さんがこう言いました。

     

    「提案内容よりも、あなたが “うちの仕事を理解しようとしてる” のが伝わったから任せたよ」

     

    あれは今でも、僕の人生の中でうれしい言葉のひとつです。

     

     

     

     

    著者情報


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    中平 裕貴(Yuki Nakahira)

    株式会社エスワイシステム 関東事業本部

    関東第2事業部 3SEシステム6部 事業部長代理

     

    『技術 × 事業戦略 × 組織運営をつなぐ実務家』

     

    エンジニアとしての技術的な知見を持ちながら、営業・事業運営・HR・組織マネジメントの視点も持つ実務家。

    エンジニア、グループ会社経営、営業を経験し、技術とビジネスの両方を理解した「橋渡し役」として事業推進に携わる。

    技術と組織運営をつなぎ、主体的なチームを育て、人々が「WONT TO」で動ける社会を目指す。

     

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